調査団が現地へ、米国務長官は政権非難 シリア化学兵器疑惑

ケリー米国務長官

2013.08.27 Tue posted at 10:49 JST

(CNN) シリアの首都ダマスカス近郊で化学兵器が使われたとの疑惑を検証するため、国連の調査団が26日、初めて現地に入った。ケリー米国務長官は同日の記者会見で、アサド政権が化学兵器使用の証拠を隠滅しようとしているなどと非難した。

シリアの活動家らが公開した映像によると、国連調査団は医師らとともに現地調査を開始した。国連の報道官は、チームが「非常に実りの多い」1日を終えたと発表。同日中に成果を検証した後、引き続き2日目の調査に入ると述べた。

現地付近ではこれに先立ち、国連チームの車両が武装グループから複数の銃撃を受けた。また訪問予定地の近くで迫撃砲によるとみられる爆発も発生。シリア国営テレビは「テロリスト」が調査団に発砲したと伝えている。

化学兵器による攻撃は21日に起きたとされるが、シリア政府は25日になってようやく調査団の立ち入りに同意し、調査中は一切の敵対行為を中止するとの方針を示した。

反体制派の統一組織「シリア国民連合」も、国連要員の安全を保証すると表明している。

破壊された車両。ダマスカス郊外で化学兵器が使われたとの疑惑が出ている

ケリー国務長官は会見で、化学兵器の使用は「倫理に反する下劣な行為」であり、容認できないと述べた。

そのうえで「シリア政権が化学兵器を保有していること、ロケット弾で撃ち込む能力を持っていること、この地区から反体制派を追放する構えだったことは分かっている」と語り、政権側の仕業との考えを示唆した。

さらに、政権側の行動は「隠し事がないようには見えない」と非難。同地区への砲撃を繰り返し、化学兵器使用の証拠を「組織的に隠滅しようとしている」と断じた。

米国はアサド政権による化学兵器の大量使用を「越えてはならない一線」と位置付けている。米軍が対シリア軍事行動に踏み切る可能性が指摘される一方で、泥沼化を懸念する声も上がっている。

化学兵器の使用は「容認できない」 米国務長官

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