シリア政権の化学兵器使用を「ほぼ断定」 米当局者

シリア首都ダマスカス近郊で衝突が続く

2013.08.26 Mon posted at 11:03 JST

ダマスカス(CNN) シリアの化学兵器使用疑惑を巡り、米政府当局者はアサド政権が化学兵器を使ったことにほぼ疑念の余地はないとの見方を示した。一方、シリアの外務副大臣は25日、国連調査団による現地調査を認めると表明した。

米政府当局者はCNNの取材に対し、「反体制派が化学兵器を使ったという情報に信ぴょう性はない」「化学兵器の使用はアサド政権のみに責任がある」と断言した。写真や医師などの証言といった証拠に加え、判断材料となる情報を集めて分析するための手段は多数あるとしている。

首都ダマスカス郊外で化学兵器が使われたという情報は21日に浮上し、反体制派は数百人が死亡したと主張。この事件を巡って反体制派とシリア政権の双方が互いを非難していた。

別の米当局者は25日、事件の数時間から数日後にかけて現場から組織などの証拠が収集され、安全な場所で分析が行われていると語った。

国連事務総長事務所によると、調査団は26日に現地入りして調査を開始したい意向。シリア政府は調査団が現地にいる限り、あらゆる敵対行為を停止することで合意したという。25日までは調査団が情報収集のために現地入りすることは認められていなかった。

ダマスカス近郊の化学兵器が使われたとされる地区の周辺

これについて米政府高官は25日、「もしシリア政府に何も隠すことがなく、化学兵器を使っていないと世界に証明したいのであれば、5日前の時点で直ちに同地での攻撃をやめ、国連による現地調査を認めていたはずだ」と指摘。しかしこの5日間で政権側が砲撃などの「意図的な行為」を続けた結果、証拠は破壊され、調査団が信頼に足る情報を得ることはできなくなったとの見方を示した。

同高官はさらに、「被害者の数や伝えられる症状、目撃者の証言など、米情報機関やパートナー諸国が収集した情報から判断すると、今回の事件でシリア政権が市民に対して化学兵器を使ったことに疑念の余地はほとんどない」と断言。「化学兵器の無差別使用に対してどう対応すべきかを米大統領が判断できるよう、事実関係の調査を続けている」とした。

米議会外務委員会委員の有力議員からは、米国がシリアを攻撃すべきだとの声も出ている。

これに対してロシア外務省は米国に対し、「過去の過ちを繰り返さないよう強く求める」と牽制。「10年前、イラクが大量破壊兵器を保有しているとの誤った情報にかこつけて、米国が国連を飛ばして無謀な作戦を開始したことを思い起こさせる。結果は誰もが知っている通りだ」と指摘した。

シリア対応巡りロシアが米国をけん制

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