シリア政権、「テロリストが化学兵器を使用」と主張

ダマスカス近郊の化学兵器が使われたとされる地区の周辺

2013.08.25 Sun posted at 11:50 JST

ダマスカス(CNN) シリアの首都ダマスカス近郊で化学兵器が使用されたとの情報が流れるなか、同国の国営テレビは24日、同市近郊で「テロリスト」が化学兵器を使ったとするアサド政権側の主張を伝えた。欧米諸国は事実確認と対応の協議を急いでいる。

国営テレビは、政府軍が反体制派支配地域のジョバルに入った際、兵士数人が有毒ガスを吸い込んで呼吸困難に陥ったと報道。匿名の情報筋の話として、「テロリストがこの地域で化学兵器を使った」との見方を伝えた。アサド政権は反体制派の武装勢力をテロリストと呼んでいる。

同テレビはまた、ガスマスクやガスボンベの並ぶ部屋の映像を放映し、ジョバルで見つかった保管施設だと伝えた。映像が本物かどうかは確認できていない。

一方、反体制派はジョバルを含むダマスカス近郊での化学兵器攻撃で約1300人が死亡したと主張するとともに、攻撃への関与を否定している。

反体制派の統一組織、シリア国民連合によると、21日午前、人口密集地域に化学弾頭などを搭載したロケット弾が撃ち込まれ、現地の医療チームが猛毒ガス「サリン」などの解毒に使われる薬品アトロピンを2万5000人分投与したと伝えた。

24日には国際NGOの国境なき医師団(MSF)が声明を出し、ダマスカス地域でMSFが運営する3病院へ神経ガスによる中毒症状を訴える患者計3600人が運び込まれたことと、このうち355人が死亡したことを明らかにした。

シリア政府が化学兵器を使用したとされる映像=ユーチューブから

治療にはアトロピンが使われたという。MSFは「症状の原因や攻撃の主体は特定できない」とする一方、神経ガスによる攻撃が強く疑われると指摘。事実とすれば明らかな国際人道法違反だと非難した。

米ホワイトハウス当局者はCNNとのインタビューで、オバマ大統領がシリアでの化学兵器攻撃について、国家安全保障チームとの会合で対応を協議すると述べた。

ヘーゲル米国防長官は23日、「何が起きたかを早急に確認する必要がある」「シリア政権による化学兵器使用が事実なら、再発を防ぐために対応を急がなければならない」と危機感を示した。英国のキャメロン首相はカナダのハーパー首相やオバマ大統領と対応を協議し、緊密な連携を確認した。

シリアでは19日から、国連調査団が化学兵器使用に対する調査を開始している。

ファビウス仏外相は24日、シリア政権に何も隠すことがなければ、ただちに調査団による現地への立ち入りを認めるべきだと述べた。ヘイグ英外相も「現場はダマスカスからわずか20分の距離にある。国連調査団が出向いて事実を明らかにするべきだ」と強調。化学兵器使用の形跡は数日のうちに検出が困難になるため、迅速に調査すべきだと訴えた。

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