米原発に大規模テロ対策不在などの警告 規制委は反論

国防総省の要請に応じて報告書がまとめられた

2013.08.18 Sun posted at 17:23 JST

ワシントン(CNN) 米国にある計107の原子炉の全てで大がかりなテロ攻撃に対処する防御策が不十分で、一部では核兵器に転用可能な核物質の盗難や炉心溶融につながりかねない妨害行為の脅威にさらされ続けていることが18日までにわかった。

米テキサス大学の核拡散阻止プロジェクトチームが米国防総省の要請に応じてまとめた報告書で指摘した。

商業用原子炉104基と研究用原子炉3基を調べた報告書は、2001年9月11日の米同時多発テロ後に明るみになった原発などでの安全対策の不備が是正されていない現状をさらけ出している。

一方、原発などの安全管理を統括する米原子力規制委員会(NRC)は報告書に反論。

NRCの報道担当者は、報告書の内容についてNRCと米政府が同時テロ後に打ち出した安全対策の繰り返しであり、新味はないなどとの声明を発表。商業用原子炉でのテロ対策などは強化されており、脅威に対する備えは十分構築されていると強調した。

同大の報告書は、カリフォルニア、マサチューセッツ、ニューヨーク、ノースカロライナやバージニア各州の沿岸地域に位置する原発などでは海上からの攻撃への防御に関する規定が欠如していると指摘。

また、NRCやエネルギー省、国防総省が作成した防御策では、5~6人による攻撃のみしか想定していないと批判した。同時テロ後に防御策を改善したにもかかわらず、この対応策は変わっていないとも述べた。

原発などでのテロ対策では施設ごとにばらつきがみられるとも主張。ホワイトハウスや連邦議事堂から24マイル(1マイルは約1.6キロ)にも満たない距離にある原子炉では核兵器転用可能な高濃縮ウランが処理されているが、NRCなどが規定する基礎的な防御策の水準にも到達しない安全対策が導入されていると述べた。

報告書は、原発などで働く従業員らが妨害行為に関与する懸念があるとしてこの問題への対応強化を要請。

攻撃を受けたら破滅的な被害を及ぼしかねない全ての核関連施設に対しては統一された防御策の導入を提言し、原発運営企業が対処出来ないテロ対策の準備には連邦政府が資金援助すべきだとも説いた。

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