福島第一原発、汚染水の流出で危機的状況続く

2013.08.07 Wed posted at 15:05 JST

(CNN) 東京電力福島第一原子力発電所で放射能に汚染された水が海に流出している問題は、有効な対策を求める政府の要請にもかかわらず、解決の見通しが立たない危機的状況が続いている。

原子力規制庁で福島第一原発の事故対策を率いる金城慎司氏は5日、ロイター通信とのインタビューで、東電は「危機感が希薄」だと批判し、「現状は非常事態」との見方を示した。原子力規制委員会の菅義偉官房長官は問題の早急な解決を望むと述べ、政府として全力を尽くすと表明している。

汚染水流出の問題は1年以上前から科学者らが指摘してきたが、東電は先月になって、観測用の井戸の地下水や港の海水から高濃度の放射性物質が検出されたことを明らかにした。

同社の報道担当者は今週、汚染水が湾に流れ出して止められない状態となっているのは「非常に重大な問題だ」と述べ、流出を防ぐために地下に壁を設けていると説明。それでも汚染水が壁を越えたり、横から回り込んだりして海へ流れ込む恐れがあることを認めた。

米海洋化学者のケン・ビュセラー氏は、早くから汚染水の問題に懸念を示してきた。流出を防ごうと壁を設けても、「水が高い所から低い所へ、つまり海へ向かう流れは止められない」と話す。

米国で原発の操業に関わった経験を持つ専門家、マイケル・フリードランダー氏は「問題は山側からの地下水が原発の建屋に入り込み、汚染水と混ざって流れ出していることだ。汚染水を敷地内のタンクに貯蔵する対策は一時しのぎにすぎない」と指摘する。

「最終的には汚染水を海に捨てるか、蒸発させるかの選択になるのではないか。どちらも世論の猛反対を受けるだろう」と、フリードランダー氏は語る。同氏によれば、米スリーマイル島の原発事故では、連邦当局が汚染水の蒸発処理を許可した。ただし福島第一原発は事故の規模がまったく異なり、「未知の領域だ」としている。

福島原発、汚染水の流出で危機的状況続く

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