香港(CNN) ある国で世界一高いビルが完成すると、同時にその国の景気が後退する――。これまで各地で繰り返されてきた現象が、次は中国で起きるのではないかとの懸念が指摘されている。
中国湖南省長沙で先月、高さ838メートルのビル「天空城市」の起工式が行われた。その後ビル開発企業が当局から建設に必要な許可を得ていないと同国メディアが報じたが、計画では2014年にアラブ首長国連邦(UAE)ドバイのブルジュ・ハリファを10メートル上回る世界一の超高層ビルが完成する見通しだ。
「過去150年間の経験から、世界一のビルと景気後退には相関関係があることが分かる」と話すのは、マレーシア金融大手CIMBグループのアンドリュー・ローレンス氏だ。同氏の提唱する「高層ビル指数」によると、過去100年の間に完成した「世界一の高層ビル」はすべて、前後に景気後退をともなっていた。
米国では1929年10月、ニューヨークにあるクライスラービル頂部に尖塔(せんとう)が据え付けられ、当時世界一の高さとなる319メートルに到達。5日後にウォール街で株価が暴落し、これを発端に世界恐慌が起きた。
96年にはマレーシアに高さ452メートルのペトロナスタワーが登場し、世界一となった。それから1年4カ月後にアジア通貨危機が襲い、同国の株価は大幅に下落した。
ドバイはブルジュ・ハリファが828メートルの高さに達した09年10月からわずか2カ月後に債務危機に陥った。
ニューヨークのエンパイアステートビルや世界貿易センター、台湾の台北101といった高層ビルも、同様の経済状況に遭遇している。
ローレンス氏の指摘によれば、高層ビルの建設と景気後退はともに、信用拡大と密接に関連する。中国は08年、世界金融危機の広がりを受けて金融緩和策に踏み切った。その影響で建設ラッシュが起きた結果、中国は今後4年間で世界の高層ビル建設の4割以上を占めることになると、ローレンス氏は指摘する。上海では先週、中国でトップ、世界でも第二位の高さとなる上海タワーの主要構造部が完成した。
総工費15億ドルに上る天空城市の完成とともにバブル崩壊が起きれば、世界経済にも大きな影響を及ぼすことが懸念される。