トッププレーヤー錦織圭、重圧への対処とテニスへの愛を語る

日本人プロテニスプレーヤー、錦織圭がCNNの番組に出演

2013.08.05 Mon posted at 17:35 JST

(CNN) 日本人プロテニスプレーヤー、錦織圭(23)にとって、かつての目標は「プロジェクト45」だった。そして今は「プロジェクト10」へと変わった。

プロジェクト45とは、男子テニスの世界ランキングでこれまで日本人最高だった松岡修造氏の46位を追い抜くこと。錦織は2011年10月に世界47位から30位になり、この目標を達成した。

その後も錦織はノバク・ジョコビッチ(セルビア)やロジャー・フェデラー(スイス)といったトップ選手を倒すなど快進撃を続け、現在は自己最高の世界ランク11位。トップ10入りをうかがっている。

その一方で順位が上がれば上がるほど、日本における錦織人気はロックスター並みに押し上げられ、日本人初の4大大会優勝を期待する声も聞かれるようになった。「(世間からの期待を)あまり考えすぎないようにしている。考えはじめるとプレッシャーになってしまうから」と、錦織はCNNに語った。

「自分のチームや自分の国、自分のファンとかいろいろなことからプレッシャーを感じることがある。でもそれをうまくコントロールしなくてはならない」と錦織は言う。「次の目標は4大大会で勝つこと。いつか実現できれば」

錦織は13歳で日本を離れ、米フロリダ州のニック・ボラテリー・テニスアカデミーに留学。初めは英語もうまく話せなかったが、鍛錬のかいあって渡米から5年もたたずしてデルレイビーチ国際テニス選手権でツアー初優勝を果たした。

アンドレ・アガシやモニカ・セレシュ、ウィリアムズ姉妹の師としても知られるボラテリー氏は錦織を「ショットの名手」と評する。ボラテリー氏はCNNに対し「調子さえよければ、錦織は世界中の誰にでも勝てる力をもっている」と語った。

昨年、錦織は日本人選手として80年ぶりに全豪オープンのベスト8に進出。約40年の歴史を持つ楽天ジャパンオープンでは日本人選手として初めての優勝を遂げた。

今年の全仏オープンでは日本人選手として1938年以来初となる第4回戦進出を決めた。だが優勝したラファエル・ナダル(スペイン)に敗北を喫した。

「トップ10の選手とやるのは楽しい」と錦織は言う。「ロジャー(・フェデラー)は今年、ジョコビッチは2年前に倒した。テニスをやっているのはトップ10の選手と対戦して倒すためだ」

錦織は「まだナダルやアンディ・マリー(英)には勝てていない」とし、こうした選手と対戦して勝利できるようになるにはまだまだ苦労があるだろうと言う。

今年5月のマドリード・オープンでは3回戦でフェデラーを破った。それでも錦織にとってフェデラーは今もあこがれの対象だ。

「ヒーローが2人いる。1人目は松岡修造さん。(日本人選手として成功した)最初の人物であり、日本で最高のテニス選手だった。そしてロジャー・フェデラー。今でも彼がプレーするのを見るのが大好きだし、テニス史における真のチャンピオンだと思う」

世界ランキング上位につける唯一の日本人選手である以上、母国でのスター扱いからは逃れられない。マリーが英国の希望を両肩に背負っているのと同じだが、人口比で言えばその2倍の期待が錦織にはかかっていることになる。

「リラックスできなかったり、つらかったりすることもある。でも同時に、その時間を楽しもうともしている。そういう風に感じられる人は多くはないだろう。日本に滞在するのは好きだし、帰国を本当に楽しんでいる」

テニスがもたらした重圧をものともしない錦織。彼は今も、自分が好きなことをひたすら続けている島根出身の少年なのだ。

「自分にとって常にテニスは趣味だった。運がいい」と錦織は言う。「時にはテニスのせいでおかしくなりそうになることもあるけれど大好きだ。(好きなことを)自分の仕事にできる人間はそう多くない」

「この瞬間、この生活を楽しみたい。(現役生活は)10~20年間くらいでそんなに長いわけではないから、頑張ろうと思う」と錦織は語った。

プロテニスプレーヤー、錦織圭に独占インタビュー

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