(CNN) 国際テロ組織アルカイダによる攻撃を警戒し、北アフリカから中東にかけての米大使館などが閉鎖された措置は、過去数日間に傍受されたアルカイダ幹部間の通信がきっかけとなったことが、CNNの調べで分かった。米政府は大使館や領事館計19カ所について、閉鎖期間を9日まで延長すると発表した。
米政権が入手した情報の詳細については、政権当局者からCNNへの要請により報道を控える。ただ複数の米当局者によれば、イエメンでの脅威は数週間前から認識されていたという。
これに加え、イスラム暦で4日がラマダン(断食月)終盤の重要な祭日に当たること、中東など各地でテロ容疑者らの集団脱獄事件が相次いでいることなどが、米公館の一斉閉鎖という異例の措置につながったとみられる。
4日は北アフリカからアラビア半島にかけての広い範囲で、22カ所の大使館と総領事館が休館となった。米国務省は同日午後、このうち15カ所と新たな4カ所について9日まで閉鎖を続けると発表した。
米政権高官と安全保障当局者らはテロの危険性に関する会合を開き、中東の米軍の警戒態勢が強化された。
米議員らによれば、公館閉鎖や渡航警戒情報の対象が広範囲に及んでいるのは、テロ計画の具体的な場所が絞り込まれていないためとみられる。
ただしイエメンの欧米関連施設が標的とされるとの懸念は特に強く、首都サヌアの米大使館周辺では500メートル以内に戦車少なくとも12台が展開し、イエメンの特殊部隊も出動するなど厳戒態勢が敷かれている。
「2001年9月の米同時多発テロ以来の大規模な脅威」との指摘がある一方、現地からは「アルカイダは近年弱体化している。脅威は誇張されている」(サヌアの大学教授)といった声も上がっている。
米政権による徹底した警戒の背景には、昨年9月にリビア東部ベンガジで起きた米領事館襲撃事件をめぐり、政府の対応が批判を浴びた経緯があるとみられる。
北アフリカ・中東で米公館を閉鎖