クイズ番組の景品は「赤ちゃん」、物議醸す パキスタン

パキスタンの人気クイズ番組で「赤ちゃん」が景品に

2013.07.30 Tue posted at 16:39 JST

カラチ(CNN) テレビの視聴率競争が激化しているパキスタンで、クイズ番組の景品として保護者のいない赤ちゃんが挑戦者に贈呈され、物議を醸している。

この番組は、イスラム教の断食月(ラマダン)の期間中に1日7時間生放送されている。これまでにカップル2組に女の赤ちゃんが贈呈された。生後2週間の子どもの母親になった女性は「赤ちゃんがもらえるなんて信じられなかった」「ものすごく幸せ」とコメントしている。

次は数日中に男の赤ちゃんが別のカップルへの景品になる予定だ。

司会者は宗教学者の肩書を持つ人物で、これまでにも宗教と娯楽を組み合わせて論議を呼んできた。番組では挑戦者500人がコーランに関する質問に答えて景品をもらう仕組み。景品にはほかにバイク、電子レンジ、洗濯機、冷蔵庫などが用意されている。

番組が贈呈した赤ちゃんは、同国の非政府組織(NGO)が路上で発見した。同組織は1カ月に15人もの赤ちゃんを受け入れているという。組織の運営者は「私たちの組織では道端やごみ箱に捨てられた赤ちゃんを見つけている。この子どもたちが良い家庭で暮らせるようにすることがなぜだめなのか。我々は審査の手続きも踏んでおり、(赤ちゃんを贈呈された)カップルには4~5回会って話し合う」と語った。

クイズ番組の司会者

挑戦者は赤ちゃんがもらえるとは知らされていなかった。パキスタンには養子縁組の公的制度が存在せず、手続きなどについて定めた法律もない。

番組について司会者は、宗教対立やテロで分断されたパキスタンを統一する役に立っていると主張。「この子たちが大きくなればストリートチルドレンになって、自爆テロ犯として利用される。我々は別の道を示そうと努めてきた」と強調する。

視聴者の中には番組を賞賛する人もいる一方、「赤ちゃんは誰かに贈呈される賞品ではない」との批判の声も上がっている。

番組は大ヒットして記録的な視聴率を稼ぎ出し、予定を延長してラマダン以降も放送される可能性がある。

クイズ番組の景品は「赤ちゃん」 司会者らにインタビュー

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。