宇宙で「おぼれる」寸前、船外活動中の水トラブル ISS

船外活動する宇宙飛行士=NASA提供

2013.07.18 Thu posted at 15:03 JST

(CNN) 国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中の宇宙飛行士がヘルメットにたまった水のために船外活動を中断したトラブルは、宇宙飛行士が大量の水でおぼれかねない深刻な事態だったことが分かった。米航空宇宙局(NASA)が16日の記者会見で明らかにした。

イタリア人宇宙飛行士のルカ・パルミターノ氏は16日、米国のクリストファー・キャシディ宇宙飛行士と共に船外活動中、二酸化炭素センサーの不具合に気づき、続いて後頭部のあたりに水があるのを感じたという。

宇宙空間では水は流れ落ちることなく身体にまとわり付く。水はパルミターノ氏の目や耳に入り、身に着けている通信機材にも干渉するようになった。

管制官はパルミターノ氏に、宇宙ステーションに戻るよう指示した。「耳に水がまとわり付いた状態で作業を続けようとするのは賢明ではない」(NASA管制官のデービッド・コース氏)と判断したという。

その間にも水の量はどんどん増え続け、パルミターノ氏は「金魚鉢の中に頭を突っ込んだような状態」(コース氏)になった。

国際宇宙ステーション(ISS)=NASA提供

ステーションにたどり着くとすぐに仲間の宇宙飛行士が集まってパルミターノ氏のヘルメットを外し、タオルで頭をぬぐった。

ヘルメットや宇宙服の中にたまった水は、1~1.5リットルに達していたという。コース氏は「彼は本当によくやった。落ち着いて冷静に戻って来た」と評価する。

パルミターノ氏がおぼれていた可能性もあったかどうかという質問に対し、船外活動責任者のカリナ・エバスリー氏は「その危険は間違いなくあった」と断言した。

今回のように大量の水が発生する問題が起きたのは初めてだといい、現在、水の流出元を調べている。

エバスリー氏によれば、宇宙服の中で液体を巡回させている冷却装置からヨード入りの冷却水が漏れ出た可能性もあるという。

パルミターノ氏は健康状態などに問題はなく元気にしているといい、同日、短文投稿サイトのツイッターに「温かい言葉をありがとう」と書き込んだ。

宇宙服内に水、トラブル時の様子

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