米大統領が冷静な対応を呼び掛け 黒人少年射殺の無罪評決

オバマ大統領は冷静な対応を呼びかけ

2013.07.16 Tue posted at 12:42 JST

ワシントン(CNN) アフリカ系の少年を射殺したとして元自警団の男が殺人罪などに問われた裁判で無罪評決が出たことを受け、オバマ米大統領は16日までに、国民に冷静な対応を呼び掛ける声明を出した。

大統領は声明で「わが国は法治国家であり、評決は下された」と宣言。同事件を巡る議論が無罪評決でさらに過熱しているとの認識を示したうえで、「少年のご両親の言葉通り、冷静に対応してほしい。私たちは社会の中で共感と理解の輪を広げるため、銃による暴力の流れを食い止めるために、果たして全力を尽くしていだろうかと自問してみるべきだ」と力を込めた。

大統領は「私たち1人ひとりが個人として、あるいは社会全体として、このような悲劇の再発防止に努める」ことが、少年への追悼にもつながると述べて声明を結んだ。

事件では黒人のトレイボン・マーチン君(当時17)が、中南米系のジョージ・ジマーマン被告(29)に撃たれて死亡した。

米ニューヨークで開かれた追悼集会

被告は少年の暴力に対する正当防衛だったとして無罪を主張。人種差別問題が絡み、全米で激しい論議が巻き起こった。ワシントンのホワイトハウス前など各地で抗議運動が展開された。

殺人罪などで無罪となったジマーマン被告を、人種や宗教を理由とするヘイトクライム(憎悪による犯罪)で訴追すべきだとの声もある。憎悪犯罪は連邦法で禁じられているが、罪の成立には不注意などの要因がなく、犯罪を犯す意図を持って行動したことを証明する必要があるといわれる。

全米黒人地位向上協会(NAACP)は司法省に憎悪犯罪での訴追を求め、賛同者に署名を呼び掛けている。

ただ、ホワイトハウスのウェブサイト上に14日に掲載された請願書には、まだ4000件余りの署名しか集まっていない。同サイトにはだれでも請願書を載せられるが、ホワイトハウスに取り上げてもらうためには少なくとも10万人分の署名を集める必要がある。

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