アシアナ機事故、脱出時に荷物抱えた中国人画像で論議

死亡した2人の遺体は滑走路上で燃える機体の残がい近くで発見された=Eugene Rah提供

2013.07.11 Thu posted at 19:17 JST

(CNN) 米サンフランシスコ国際空港で今月6日起きた韓国アシアナ航空機による着陸失敗、炎上事故で、黒煙を上げる機内から脱出した中国人乗客らが安全対策指示を無視しスーツケースを持ち出している画像が出回り、中国のソーシャルメディア上で非常識などとの反発を招いている。

米連邦航空局(FAA)は、機外への避難時には乗客の円滑な脱出を図るため、移動の支障に成りかねない持ち物は放置することを定めている。

アシアナ機には乗客乗員307人が搭乗。乗客の約半分は中国人だった。

中国版ツイッター「微博」には、「非常に失望した。自分の荷物が他人の命より重要なのか」などの投稿が寄せられた。「外国人、特に米国人は中国では人命が金より安いことを理解しないだろう。この思いは中国政府と国民に染みついている」との内容もあった。

一方で、スーツケースを持ち出した乗客を「本能的な反応だろう」と弁護する声もあった。しかし、擁護の後に「中国人として人命は所有物より重いことを銘記すべきだ」とも付け加えていた。

事故機の機内の様子=NTSB提供

また、旅客機の安全対策パンフレットに目を通さず、乗務員による口頭での安全対策指示に耳を傾けない乗客を批判する多数の書き込みもあった。

アシアナ機から荷物を持ち出して脱出した中国人乗客も微博で、自らの行動を弁護した。中国最大手の電子商取引企業の社長と名乗る人物は「旅券、金など全てがバッグの中に入っていた」とし、「これを失ったら大変な事になっていた」と主張。

さらに、「機内の混乱はひどくなかったし、私の後ろの通路で走るような乗客もいなかった」と続けた。しかし、この書き込みに対しては複数の反論があり、「頭がおかしいのではないか。逃げる時に荷物を持参するのは無知だし身勝手。自分の行動を正当化しているがその行動が他人の死亡につながったかもしれない。持ち物はあなたに重要だろうが、より大事なのは他人の命だ」などと説いた。

アシアナ機事故の原因究明では、緊急事態時に持ち出せる荷物や乗客が取るべき対応について乗務員がどのような指示を出したかが調査対象となっている。韓国紙の中央日報は同航空の話として、乗務員はドアを開け、脱出用シューターを作動させて乗客の安全避難を助けたと報じている。

煙の上がる事故現場=Sumi & Ben Levy提供

民間航空会社の操縦士と名乗る男性は微博で、アシアナ機事故とは別に、航空機搭乗で総じて規則を守らない中国人の不評を紹介した。米大手アメリカン航空の乗員から多数の中国人は座席で安全ベルト着用や着陸時に座席を元の位置に戻すことも拒否し、重量過多の荷物を頭上の収納室に押し込むなどとの苦情を聞いたと指摘。

「旅客機によっては乗務員の指示に従わない乗客は最高で1500米ドル(約14万7000円)の罰金に直面するとの機内放送を中国語で何度も流さなければならない」と暴露、「これらの乗客は誤った振る舞いをすれば緊急着陸の際、自らの命がなくなることを知らないのだろうか」と締めくくった。

アシアナ機事故を調べる米運輸安全委員会(NTSB)は、乗客の振る舞いが避難作業の安全性や効率化にどう影響したのかについてこれまでコメントなどは出していない。

アシアナ機墜落の瞬間がカメラに

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