アシアナ航空の操縦士は訓練半ば、教官役も初指導

事故原因についての調査が進められている

2013.07.10 Wed posted at 15:04 JST

サンフランシスコ(CNN) 米サンフランシスコ国際空港で起きた韓国アシアナ航空ボーイング777型機の事故で、米国家運輸安全委員会(NTSB)のハースマン委員長は9日、操縦室にいたパイロット2人の経歴などを明らかにした。操縦かんを握っていたのは訓練期間中のパイロット、隣で指導していたパイロットはこれが教官役として初の飛行だった。

ハースマン委員長は記者会見で、捜査チームから聴き取った内容を発表した。

それによると、事故機を操縦していたパイロットは1994年入社、飛行時間1万時間近い経験を持つが、ボーイング777型については訓練期間中。講義とシミュレーター訓練を終え、同航空が基準とする20回、60時間の飛行訓練のうち、約半分の10回、35時間分を完了したところだった。

教官役のパイロットは元韓国空軍兵で、飛行時間約1万3000時間。教官としての飛行は経験がなく、この2人が組んだのも初めてだったという。

着陸時、3人のパイロットが操縦室にいた。同機に搭乗したもう1人のパイロットは客室にいた。

滑走路に残された機体の残がい=6日

操縦室の3人の話によると、事故機は着陸前、時速254キロの自動操縦に設定されていた。高度約60メートルまで降下した時点で、教官役パイロットが高度が低すぎることに気付き、着陸をやり直すため速度を上げようとしたが、操縦役のパイロットがすでにレバーを操作していた。

しかし加速は間に合わず、滑走路手前の護岸に車輪と尾翼をぶつけて胴体着陸した。機体が回転し、燃料タンクが破裂して火災が起きた。パイロット1人が肋骨(ろっこつ)を折り、客室後部の乗務員2人が滑走路に放り出されるなど、乗員にも負傷者が出た。

乗客の多くは脱出したが、2人が死亡、182人が病院へ運ばれた。

NTSBが事故直後から詳細な情報を発表していることに対し、パイロット組合(ALPA)は9日、「脈絡のない不完全な情報を流すことで、事故原因を巡る憶測を呼んでいる」と抗議する声明を出した。

ハースマン委員長はこれに対し、「透明性のある情報公開が重要。誤った情報が広まるのを防ぐためにも、事実に基づく正しい情報を示すべきだ」と主張した。同委員長は一方、この日の記者会見で原因解明にはまだ時間がかかると述べ、「皆さんも憶測は控えてほしい」と呼び掛けた。

アシアナ機墜落の調査進む

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