(CNN) 韓国人をはじめとするアジア人女性らの間で急速に広まっている美容整形。その多くは高い鼻や二重まぶたなど、白人の顔の特徴をモデルとする手術のようだ。米デトロイトの美容外科医、アンソニー・ヨンさんは、韓国系としての立場からこの風潮に疑問を投げ掛ける。
「ヨン先生、うちの子は器量が悪いのです」――十代の韓国人少女、ジェーンさんが母親に連れられて診察室を訪れた。「このみっともない鼻を直し、目をぱっちりさせて二重まぶたにしなくては」と、母親は力説する。ヨンさんはジェーンさんに問い掛けた。「あなたはどう思う? 手術を受けたい?」
ジェーンさんはじっと床を見つめていたが、やがてうつむいたままこう答えた。「はい、たぶん。お母さんの言う通りでいいです」
韓国の市場調査会社トレンド・モニターによると、同国では19~49歳の女性の約20%が美容整形手術を受けるという。この割合は米国人女性の5%をはるかに上回る。
国際美容外科学会(ISAPS)のデータによれば、美容整形手術の国別件数では米国とブラジルが最も多い。これに中国、日本が続き、韓国は7位に入っている。
アジア人の美容整形に対する抵抗感は、近年特に弱まってきた。韓国で2012年のミス・コリアに選ばれた女性は過去に手術を受けたことを認め、「生まれつき美人だったなんて言ったことはない」ときっぱり語った。
中高年女性の関心も高い。ヨンさんは、50代以上の母親が子どもに整形を強く勧め、「ここをこう直して」と具体的に指示するケースを何件も見てきた。
特に人気があるのは、鼻を細く長くする手術と、二重まぶたを形成する手術。白人はほとんどが二重まぶただが、東アジア人ではわずか15%だ。「はっきり言ってしまえば、アジア人の美容整形は白人の顔にできるだけ近づけることが目的になっている」と、ヨンさんは指摘する。
ヨンさん自身も、駆け出しのころはこうした手術を何件か手掛けた。それが倫理的に正しいことかどうかなど、当時は考えもしなかったという。
ジェーンさんと出会ったのはそんな時だった。またある時は「息子に二重まぶたの手術を受けさせたい」という母親がやって来て、「本人も強く希望している。ハンサムになりたがっているのです」と熱心に訴えた。その本人というのは、まだ8歳の少年だった。
やがてヨンさんにも子どもが生まれた。非の打ち所のない、かわいい女の子だ。ヨンさんによく似ているが、まぶただけは父親似の一重だった。娘がそのまぶたに「手を加えなければ」などと思う日が来ないよう、ヨンさんは心から願っているという。