「レイプ」Tシャツの販売元が廃業 ミスが命取りに

アマゾンに掲載されていた問題のTシャツの一部。販売元が廃業に追い込まれた

2013.06.26 Wed posted at 17:20 JST

ニューヨーク(CNNMoney) インターネット通販サイトに今年3月、レイプを促すかのような標語を書いたTシャツが掲載されて非難を浴びた問題で、販売元のTシャツメーカーが先週、廃業に追い込まれた。致命的なミスから立ち上がることができなかったようだ。

破たんしたのは米マサチューセッツ州に本社を置く新興企業、ソリッド・ゴールド・ボム。オーストラリア・メルボルンに住む米国人創業者のマイケル・ファウラー氏が、残っていた社員3人に通知した。

「私の失敗だ。代償は大きかった。20年前から築いてきたライフワークを失ってしまった」と、ファウラー氏は話す。今でも「殺す」と脅迫を受けたり、しつこい電話がかかってきたりするという。

問題のTシャツに書かれていたのは、「Keep Calm and Rape a Lot(そのまま冷静にたっぷりレイプしろ)」などの文字。英政府が第2次世界大戦中、国民の士気を高めるために使った標語「Keep Calm and Carry On(そのまま冷静に進め)」のパロディーだった。

ネット通販大手「アマゾン」のサイトに掲載されていたこのTシャツに非難が集中したため、アマゾンはただちに同社製品すべての取り扱いを中止した。

ファウラー氏は当時、「コンピューターが自動的に作ったデザインで悪意はなかった」として謝罪。顧客からの注文を受けてからTシャツに文字を印刷しているため、問題のデザインが実際に製造された事実はないとも説明した。

アマゾンに掲載されていた問題のTシャツの一部。販売元が廃業に追い込まれた

しかし同氏のもとには抗議のメールが殺到し、1日400件入っていた注文は100件に減った。3週間後にアマゾンでの取り扱いが再開してからも、それまでランキングのトップにいた実績が消去されてしまったため、売れ行きは回復しなかった。

ファウラー氏は自身の報酬を辞退し、6人いた社員のうち3人を解雇。3万5000ドル(約340万円)の私財を投入して生き残りを図った。

しかし同社の経営は悪化の一途をたどり、今月起きた出荷トラブルをきっかけについに破たんした。「米国行きのチケットが買えないので、社員には電話で伝えた」という。

本社に残ったコンピューターや発送設備、Tシャツの印刷機などは売却し、代金を社員らと分ける。運送業者やTシャツ仕入れ先に対する12万5000ドルの負債は、同氏が少しずつ返済するという。

だがファウラー氏は、これでビジネスをあきらめたわけではない。すでに染物の工房を開設し、メルボルンの友人らとTシャツ印刷に乗り出す計画も立てているという。「3人の子どもと専業主婦の妻のためにも働かなければならない。私は起業家。また一から始めるだけだ」と話している。

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