(CNN) 新しい仕事に就くときの賃金交渉では、「厳密な数字」を要求することが大事なようだ。
最近の研究では、10万ドルではなく10万5000ドルといった「切りの良くない」金額を要求するほうが、最終的に良い結果が得られるということが分かっている。
応募者は、厳密な数字を出すことで求人担当者に対し、仕事について徹底的なリサーチを行ったという印象を与えることが出来るというわけだ。
研究を主導した米コロンビア大学ビジネススクールのマリア・メーソン准教授は「『丸めた数字』が問題なのは情報不足に見えるところだ。丸めた数字を使うことで、下調べを十分にしていないとか、恣意的な数字を出したかのように見られてしまう」と説明する。
メーソン准教授によれば、金額がどこからともなく現れたように見えると求人担当者は対案をより積極的に行うようになる。このことが、丸めた数字を提示する人にとっては、厳密な数字を提示する人と比べると、悪い結果につながりやすい。
メーソン准教授は「厳密な数字は相手に対して『自分を軽く見るなよ』とか『私は情報を持っていますよ、単に数字を出しただけではないですよ』ということを伝えるための一つの方法だ」と指摘する。
応募者にとって本当に重荷なのは、そこから、数字を単に提示しただけではないと証明することだ。メーソン准教授は、提示した数字の裏づけのために、いくら要求するのか実際に計算することは、今回の研究結果が勧めているように厳密な数字を単に提示するということよりも、はるかに大切だと指摘する。
応募者は、インターネットで仕事の相場を判断したり、社内の情報提供してくれそうな人物に尋ねたりすることが出来るだろう。
資産形成についての著作があるラミット・セティ氏は、関連情報について調査を行い、給与としてもらいたい金額に対する理由を相手に理解してもらうことが交渉の最も重要な部分だと指摘する。
セティ氏によれば、上手な交渉によって、なぜ相場の中でもより高い金額が支払われるべきなのかを納得させることが出来るという。そのなかには、自身の経歴についての説明や、企業が直面している課題についての理解、求人担当者に対して課題の解決に自分がどのように貢献できるか伝えることなどが含まれている。
メーソン准教授も、賃金交渉の際に理由を提示することはいくつもの良い点があると指摘する。
メーソン准教授は、指図されるよりも理由付けされることを人は好むと説明。「賃金交渉で求められるのは、なぜ提示した金額に意味があるのか、相手に理解してもらうことだろう。そうすれば、担当者もなぜこの金額なのか納得できるし、会社に対して説明することもできる」と指摘した。