アリゾナ州キャメロン(CNN) 米アリゾナ州のグランドキャニオン近くで曲芸師の男性が、峡谷に張った高さ約457メートルのケーブル上を歩く命綱なしの綱渡りを成功させた。
ニック・ウォレンダさんは23日、グランドキャニオン近くのリトルコロラドリバー渓谷に張った約5センチの金属製ケーブル上で、綱渡りに挑んだ。
渡り始めて間もなく「靴が滑る。ケーブルに埃が付いている」とつぶやき、手のひらで靴底をぬぐう場面も。さらに、風にあおられて綱の上でかがみ、態勢を立て直す場面も2度あった。
関係者やテレビ中継を見ていた視聴者が固唾(かたず)をのんで見守る中、約400メートルの距離を22分54秒で渡り終えたウォレンダさんは、最後は小走りでゴールに到達。バランス棒を放り出して地面にキスし、妻や子どもたちと抱き合った。
ウォレンダさんは「4分の3の地点に来るまでは疲れを感じ、そこからアドレナリンが全開になった」と振り返る。妻のエレンディラさんは「やっと息ができる」と安堵(あんど)した様子だった。
ウォレンダさんの家系は7代にわたる曲芸師で、祖父のカールさんは1920年にサーカス団「フライング・ワレンダ」を創設した。ウォレンダさんもその伝統を受け継ぎ、2歳のころから綱渡りをしてきたという。
祖父のカールさんはニックさんが生まれる10カ月前、綱渡りに失敗して落下し、命を落としている。
グランドキャニオンで高さ457mの綱渡り