(CNN) アフガニスタンの反政府武装勢力タリバーンと米国との協議が20日にカタールの首都ドーハで行われる見通しとなった。
タリバーンは先ごろ、カタールに交渉の窓口となる事務所を開設するなど、アフガンや米国をはじめとする国際社会との関係改善を進める動きを見せつつある。
米国とタリバーンとの協議を前に、現在の状況や協議に至った背景について整理する。
・協議の内容は
タリバーンはカタールに事務所を開設し、そこでアフガンと米国の当局者とアフガン紛争の終結に向けた協議を始める。
・何らかの重要な取引が行われるのか
タリバーンが、2014年の駐留軍撤退後も米国がアフガンに基地を維持することを受け入れ、米軍基地を攻撃しないことで合意することは可能だろいう。
・双方の要求内容は
米国はタリバーンに国際テロ組織アルカイダとの関係断絶を求めるとみられる。一方、タリバーンはこれまで、アフガンからのすべての外国軍の撤退を要求してきたほか、アフガン政府と軍事組織の中に一定数の代表を参加させることを求めてきた。また現在米国に拘束されているメンバーの釈放も求めている。
・交渉相手はどのタリバーンか
ムラー・オマル師のタリバーンだ。オマル師は2001年9月の米同時多発テロ以前にアフガンのリーダー(アフガニスタン・イスラム首長国の首長)だった人物だ。オマル師の側近のタヤブ・アグハ氏がカタールでの協議でタリバーン側の代表を務める。
・タリバーンはなぜ今になって交渉に応じたのか
タリバーンが2001年にほぼ勝利していた内戦は、多国籍軍の駐留により沈静化した。しかし仮にタリバーンが再び国全体を支配しようとして戦っても、今度はそううまくいかないかもしれない。
アフガンでは現在も水面下で内戦は続いている。それが再び表面化すれば、タリバーンは米軍の駐留の恩恵を受けてきたかつての北部同盟を相手にかなりの苦戦を強いられるだろう。つまり、彼らにとって戦うより協議に応じた方が得策ということだ。
・なぜ協議にこぎつけるまでこんなに時間を要したのか
米国はこれまでカタールでタリバーンと秘密裏に交渉を行ってきたが、アフガンのカルザイ大統領は度々自分が置き去りにされていると感じ、交渉の進展を妨害したとされている。またタリバーンもキューバのグアンタナモ米海軍基地に収容されているメンバーの釈放が期待通りに行われないと交渉に背を向けてきた。
・オマル師は今どこにいるのか。またオマル師の所在が重要である理由は
オマル師はパキスタンに潜伏し、パキスタンの承諾なしに自由に移動できないと考えられている。パキスタンは否定しているが、オマル師の支持者らはそう見ている。パキスタンは将来のアフガンで影響力を持ちたいと考えている。しかし、もしアフガンがパキスタンの宿敵であるインドに傾けば、パキスタンは影響力を持てなくなる。
・パキスタンは協議にどのような影響を及ぼすか
オマル師の代理を務めるタヤブ・アグハ氏は、パキスタンの許可がなければ、カタールで事務所を開設したり、アフガンや米国と交渉したりすることはできなかっただろう。少なくともタリバーンの一部のメンバーはそう理解している。
パキスタンの情報機関(ISI)は長年、アフガンのカルザイ大統領や米国当局からアフガンのタリバーンを支援していると批判されているが、ISIは否定している。
・今後どのような問題が起こると予想されるか
カルザイ大統領は今後の交渉はすべてアフガンで行うべきだと主張しているが、パキスタンは納得しないだろう。しかし、ここにこぎつけるだけでも大変な苦労だった。交渉を成功させるためには、すべての当事者が真剣に取り組む必要がある。