これが中国の婚活最前線 イベントに1.8万人集結、親も参戦

スピードデートには多くの男女が参加した

2013.07.15 Mon posted at 14:15 JST

上海(CNN) そのイベントは「第3回上海恋愛結婚エキスポ」と呼ばれていた。だが、イベント名とは裏腹に独身の男女1万8000人以上が集まった会場にロマンチックな雰囲気はひとかけらもなかった。

大勢の男女が、男なら青、女ならピンクに色分けされた掲示板に張られた参加者のリストを使って相手を探す。参加者は、年齢をはじめ、身長や学歴、年収、登録された出身地といった重要な情報をじっくりと調べる。あるものはノートに記録し、あるものは携帯電話で写真を撮るといった具合だ。

別の会場では、100人を超える20代、30代の男女がテーブルを挟んで向かい合っていた。BGMにノラ・ジョーンズのラブソングが聞こえてくる。

8分間のスピードデートだ。8分が過ぎると、司会者が男性陣に席を2つ左へずれるよう呼びかける。

参加者のなかにはこれが「初デート」のものもいる。夏休みを利用してイベントに参加したカナダの大学に通うイシン・バイさん(20)もその1人だ。

イベント参加を「リサーチみたいなもの」と表現するバイさんだが、学校ではロマンチックな関係よりも勉学に励むよう求められる若い中国人にとって恋人がいないことは珍しいことではない。

参加者の情報が記された掲示板

バイさんらが参加したスピードデートのイベントは中国の婚活サイト大手「珍愛網」の運営会社が主催したもの。同社によれば、登録者数は5800万人を超え、現在も毎月100万人の割合で数が増え続けているという。

創業者で最高経営責任者(CEO)のソン・リー氏によれば、中国政府が1979年に導入した一人っ子政策のために、中国の若い男女はデートに重要な社交術が未熟だという。「1980年以降に生まれた多くの子どもたちにはきょうだいがいない。そのため、彼らは性別の違った相手と接する経験を持たない環境で育った」と指摘する。

参加者の多くは、友人や家族といったつながり以外から、ロマンチックな相手と出会うことが難しいため、こうしたイベントに参加すると答えた。

中国人の多く、特に女性は20代後半になるにつれて、結婚へのプレッシャーが増す。イベントに参加した26歳の女性は、「母から『なぜまだ独身なの。あなた、おかしいの?』と聞かれる」と言う。その横にいたメイと名乗る別の女性も「みんな同じ」と笑う。

メイさんは「独り身なので自由を感じるけれど、誰かとデートしなければいけない時期かもしれないということも分かってる。30歳前には結婚しなきゃ」と語る。2人とも「売れ残り」は避けたいという。

何千人もの独身の男女が一堂に会しているというのに、異性を誘惑しようという雰囲気がほとんどないのは驚きだ。

親も参加して、子どもの宣伝ちらしを配る

人々は会場を歩き回りながら、婚活を支援する企業のパンフレットを手に取ったり、自分磨きのためのレッスンを聴くために立ち止まったりしている。

婚活イベントというよりは就活フェアのようだ。珍愛網のリー氏は「的確な比喩(ひゆ)だ。配偶者を見つけることは、仕事を見つけるようなものだ」と語った。

さらに驚くのは多くの親がイベントに参加していることだ。会場の入り口で自分たちの子どもの詳細について記された宣伝用のポスターを掲げて立っているものや、成人した息子や娘のかたわらに立ち企業のブースをのぞくものもいる。

会場を回っているとメイさんの携帯電話が鳴った。別の場所にいる父親からのものだった。メイさんが父親のところへ行くとその横には別の男性が立っていた。その男性の息子は銀行に勤めているが、今回のイベントには参加していないという。

なんとも幸運なことに、男性は息子の写真を持っていた。ついでに、パスポートも。

写真を見たメイさんの反応は悪くはなかった。今度は男性がメイさんの写真を携帯電話で撮影する。

メイさんは2人に感謝している様子だ。「2人とも、自分たちのこどもにぴったりな相手を見つけようとしているんだもの」とメイさんは笑った。

これが中国の婚活最前線

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