イラク航空、23年ぶり路線拡大 787も10機調達へ

イラク航空はボーイング787を10機発注するなど、新型機調達に7億ドルを投じるという

2013.06.11 Tue posted at 15:52 JST

(CNN) イラク航空が23年ぶりに路線を拡大している。ボーイング787型機(ドリームライナー)を10機発注するなど新型機の調達にも積極的で、同国の復興の一翼を担っている。

これまでに首都バグダッドとロンドン、フランクフルト、デュッセルドルフ、クウェートを結ぶ国際便が加わったほか、コペンハーゲン、ストックホルム、クアラルンプール、さらには中国各地との間を結ぶ便も就航させる計画。2017年までに、現在の15路線から40路線へと拡大したい意向だ。

イラク航空の広報は、「現時点で主なターゲットは家族や友人のもとを訪れるイラク人だ。イラク国外に住む国民は400万人に上り、大きな市場がある」と説明する。

運輸業界に詳しい専門家のジョン・ストリックランド氏は、「復興支援に当たる建設会社や非政府組織(NGO)などあらゆる方面の関係者が増えている。イラクは復興の途上にあって潜在的可能性は大きく、石油産業が成長を続ける中で、今後も高い注目を集め続けるだろう」と指摘する。

イラク航空は2010年にも再建を試みたが、この時はクウェートに起こされた12億ドル(現在のレートで約1200億円)の損害賠償訴訟に阻まれて果たせなかった。この裁判がようやく決着した今、同航空は新型機の調達にも乗り出し、ドリームライナー10機を含む新鋭機に7億ドルを投じているという。「イラクは地理的に、世界のほとんどの場所へノンストップで到達できる場所にある」と広報は説明する。

イラクを南北に流れるチグリス川

イラク政府も観光客に戻ってきてもらおうと、巨額のオイルマネーを背景に、図書館や博物館、遺跡などの再建に力を入れる。

運輸省はバグダッド空港に3つの新ターミナルを建設し、利用客数を現在の倍の年間1500万人に増やす計画。国内各地でも地域の発展を目指して空港建設プロジェクトが進んでいる。

ただ、首都バグダッドなどでは今も爆弾テロが相次ぎ、多数の死傷者が出ているのが現状だ。米ワシントンにある国防大学の中東専門家デニス・ナタリ氏は、「イラク政府は機能していないと思われがちだが、バグダッドで爆弾事件があっても、実は北部や南部は大きく進展していて、テロの影響をほとんど受けていない」と指摘。「イラクを強くしてくれる人たちを運んでくるのが空港だ。空港が発展すれば、都市や街も発展する」と話している。

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