サンフランシスコ（ＣＮＮ） 米アップルは１０日にサンフランシスコで開いた世界開発者会議で、携帯端末向けの新ＯＳ「ｉＯＳ７」やストリーミングラジオサービスの「ｉＴｕｎｅｓラジオ」、Ｍａｃ向けの新ＯＳ「ＯＳ Ｘ Ｍａｖｅｒｉｃｋｓ」など、新しい製品やサービスを披露した。
アップルの大掛かりな製品発表会は９カ月ぶり。ただ、テレビや腕時計型の多機能情報端末「スマートウオッチ」といった新製品や、ｉＰｈｏｎｅなど主力製品の刷新版の発表はなく、全般的には驚きには欠ける内容だった。
ｉＯＳ７はスマートフォン「ｉＰｈｏｎｅ」やタブレット端末「ｉＰａｄ」に搭載される新ＯＳで、この秋に登場予定。タッチスクリーン画面などが大幅に刷新され、基調講演に立ったティム・クック最高経営責任者（ＣＥＯ）は、「ｉＰｈｏｎｅの登場以来、最大の変更」を行ったと紹介した。
画面に並ぶアイコンのデザインも一新されたほか、音楽や照明などのツールが並ぶ「コントロールセンター」などの新機能が加わっている。
音声操作機能の「Ｓｉｒｉ」は、これまでの女性の声に加えて男性の声も選べるようになり、伝言の読み上げや、画面の明るさの調整といった操作もできるようになる。
会議ではティム・クックＣＥＯなどが講演
ｉＯＳ７は「ｉＰｈｏｎｅ４」以降と「ｉＰａｄ２」以降の各モデル、および携帯音楽プレーヤー「ｉＰｏｄ ｍｉｎｉ」「ｉＰｏｄ ｔｏｕｃｈ」に対応する。
一方、音楽ストリーミングサービスのｉＴｕｎｅｓラジオは２００以上のチャンネルを用意する。広告スポンサーによって無料で提供され、アップルの音楽販売サービスを通じた楽曲の購入を促す。
ただ、米国ではグーグルが５月に似たようなサービスを発表するなど、この分野は参入が相次いでいる。このためアップルが新しい製品やサービスを創造するのではなく、競合他社に追随するようになったことを示す一例として批判する声もある。
このほかには、バッテリー持続時間を大幅に向上させた「ＭａｃＢｏｏｋ Ａｉｒ」や、「アップル史上最もパワフルなコンピューター」と銘打った「Ｍａｃ Ｐｒｏ」も発表された。
新しいＭａｃＢｏｏｋ Ａｉｒは同日から出荷が開始され、米国での価格は１１インチモデルが９９９ドル（約９万９０００円）、１３インチモデルが１０９９ドルから。
世界開発者会議の会場の様子
Ｍａｃ Ｐｒｏは米国内で生産され、年内に登場予定だという。
Ｍａｃ向けの新ＯＳとなるＯＳ Ｘ Ｍａｖｅｒｉｃｋｓの名称は、カリフォルニア州北部にあるサーフィンの人気スポット「マベリックス」の地名に由来する。これまでの名称に使われてきたライオン、タイガーなどの大型ネコ類とは決別した。
新機能としては、これまでモバイル版のみの提供だった地図アプリの「Ｍａｐｓ」や、アップルのサービスで購入した電子書籍を複数の端末で読める「ｉＢｏｏｋｓ」などが加わる。ＯＳ Ｘ Ｍａｖｅｒｉｃｋｓはこの秋に登場予定。