注目のアイソン彗星、壮大な天体ショーは期待できる?

ハッブル宇宙望遠鏡が捉えたアイソン彗星の姿=NASA/ESA提供

2013.06.10 Mon posted at 17:56 JST

(CNN) 一部で「世紀の彗星」とも呼ばれる「アイソン彗星(すいせい)」が太陽に近付いている。過去50年に出現した彗星の中でも最大級の明るさになるかもしれないという注目の彗星。太陽に最接近する11月に備えて基礎知識を紹介する。

名称

アイソン彗星はロシアの2人の天文学者が2012年9月に発見し、その2人が所属する宇宙天体観測の国際団体「International Scientific Optical Network」の頭文字を取ってISON(アイソン)と命名された。

大きさ

ハッブル宇宙望遠鏡が4月にとらえた写真から判断すると、核の大きさは直径4.8~6.4キロ程度。核の周囲を取り巻く「コマ」とよばれる部分の直径は推定約5000キロと、オーストラリア大陸の幅の約1.2倍に達すると推定される。彗星の尾の長さは地球の円周の2倍強の9万キロ以上あり、同望遠鏡の視野には収まり切らないという。

1986年には欧州宇宙機関の探査機がハレー彗星の核の姿を捉えた=同機関提供

アイソン彗星が「特別」な理由

米航空宇宙局(NASA)のスウィフト衛星を使ってアイソンが生成する水分やちりを調べたメリーランド大学の天文学者デニス・ボドウィッツ氏は、「過去50年で最大級の明るさを持つ彗星になる可能性がある」と予想する。

海軍研究試験場のカール・バタムズ氏は、「この彗星の軌道は太陽の非常に近くまで接近する。そうなると壮大な天体ショーになる」と指摘する。

ただし実際にどうなるかはまだ分からないと釘を刺す専門家もいる。NASAの研究者ダン・ヨーマンズ氏は3月の時点で、「彗星の行動を予想するのは猫の行動を予想するようなもの。つまり予想がつかない」と話していた。

観測できる時期

アイソンは11月に太陽の大気圏に突入し、太陽表面から約110万キロの距離を通過する。専門家によると、もし太陽熱で消滅しなければ、月と同じくらいの明るさになり、日中でも見えるかもしれない。長く引いた尾は夜空を大きく横切る。ただ、太陽に分解されてしまう可能性はある。

1995年に発見され、長い期間肉眼で観察できたヘール・ボップ彗星=NASA提供

もし分解した場合、地球に危険が及ぶ恐れはあるか

専門家によると、その恐れはないという。バタムズ氏は、アイソン彗星が地球を脅かすことはなく、分解した場合でも壮大な天体ショーが見られるかもしれないと語る。「もしアイソンが分解すれば、望遠鏡で『真珠が連なったような姿』が観測できるかもしれない」「1994年に木星に衝突したシューメーカー・レビー第9彗星と似た状況になる可能性もある」

アイソンがどうなったとしても、北半球では数カ月の間、天体ショーが楽しめそうだ。NASAによれば、アイソンは北極点のほぼ真上を通過するため一晩中観測できるという。

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