NGO関係者43人に禁錮刑、「魔女狩り」の声も エジプト

ただひとりエジプトにとどまっていたベッカー氏。上訴を検討しているという

2013.06.05 Wed posted at 11:45 JST

(CNN) エジプト国営紙アルアハラムによると、同国の裁判所は4日、外国から違法な資金提供を受けていたとして訴追された欧米の非政府組織(NGO)関係者ら43人に禁錮1~5年の有罪判決を言い渡した。こうした判決は「アラブの春」から続く民主化の流れに逆行するものと懸念する声が国外から上がっている。

訴追された米国人の大半は保釈金を支払って帰国している。43人のうち27人は被告不在のまま禁錮5年の判決を受けた。11人が執行猶予付きの禁錮1年、5人が禁錮2年の実刑を言い渡された。

裁判所はさらに、米国やドイツのNGO計5団体の閉鎖と資金没収を命じた。このうちのひとつで現職員6人と元職員1人が有罪判決を受けたという米フリーダムハウスは「市民活動を抑圧し、表現の自由を制限しようとする政府主導の魔女狩り」を強く非難するとの声明を出した。

米国人の中でただひとりエジプトにとどまっていたロバート・ベッカー氏は、ツイッターを通して「弁護士と上訴を検討している。私は実際にエジプト入りした時期より6年も前にNGOを設立した罪に問われた」と述べ、改めて無実を主張した。

同氏は判決言い渡しを控えた3日、ブログに「もともと政治的な裁判であるだけに、証拠が存在しないにもかかわらず有罪となることは十分あり得る」と書き込んでいた。

2012年の大統領選の結果を支持する人々。一部では今回の判決は民主化の流れに逆行するとの懸念も出ている

米国のケリー国務長官も裁判の「政治的動機」を批判し、判決はエジプト民主化の流れに反するとして「深い懸念」を表明した。

米NGOに勤務していて禁錮2年の判決を受けたエジプト人男性は4日、「検察は一片の証拠も示せなかった」と述べて上訴の構えを示した。この男性らはジャーナリストのための研修を計画していたが、実行に移す前の段階で訴追されたという。

エジプト当局は2011年12月、複数のNGOが外国から違法な資金を受け取って正規の登録なしで活動していたとして、10のNGOについて事務所を捜索した。

刑事訴追された職員の中には、米共和党系NGOの現地責任者を務めていたラフード米運輸長官の息子サム・ラフード氏が含まれていた。ラフード氏も昨年帰国したが、被告不在のまま有罪判決を受けている。

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