ボストン(CNN) 「ありがとうボストン、ありがとう皆さん。家に帰れる日が来ました」――4月に起きた米ボストン連続爆破テロで負傷した264人のうち、最後まで入院していたメリーランド州の女性が3日、医師や看護師らに送られて退院した。
エリカ・ブラノックさん(29)は「11回の手術を受け、つらい時も過ごした」と50日間の入院生活を振り返り、退院にあたって感じるのは「この素晴らしい街への称賛の気持ちばかりです」と語った。
幼稚園教諭のブラノックさんは事件当日、ニコール・グロスさんと姉妹でマラソンの応援に訪れていた。ゴール付近に立っていた時、爆発が起きた。
「私は後ろに倒れ、目の前がオレンジ色と黄色になった。サイレンや泣き声、叫び声が聞こえたけれど、爆発の音を聞いた覚えがない」と話す。「頭の中で神様と対話した。私はまだ行けない、と伝えました」
その時、1人の女性がはい寄ってブラノックさんの手をつかんだ。自分のベルトを止血帯にして、ブラノックさんの脚に巻く。「助けを呼ぶ私の声を聞いて手を差し伸べてれたのです。カリフォルニアから来たジョーンとだけ名乗り、ずっとそばにいてくれました」
ブラノックさんは重傷を負い、左脚ひざ下の切断を余儀なくされた。「医療チームの方々の手腕と献身、救急隊員やカリフォルニアのジョーンさん。皆さんに命を救っていただきました」と話す。この女性をなんとしても捜し出し、感謝の気持ちを伝えたいという。
グロスさんも片脚を骨折して33日間入院した。一緒にいたグロスさんの夫も切り傷ややけどを負った。
「家族のうち3人も負傷して人生が変わってしまった。それでも私たち家族は生き延び、再び輝いてみせる」と、ブラノックさんは力を込める。病室のベッドの上には、「力と勇気の象徴」とされるトンボの絵が飾られていた。
ブラノックさんは入院中、事件の実行犯とされるジョハル・ツァルナエフ容疑者が同じ病院に入院していることを知った。同容疑者が病院を爆破する夢に何度もうなされたという。
メリーランド州の自宅へ戻ったらリハビリを始め、義足の使い方を練習しなければならない。
「何だって乗り越えることができる」と、ブラノックさんは前向きだ。目標は幼児教育の修士課程を修了し、今秋には園児たちの待つ教室に復帰することだという。
米ボストン爆破テロ、最後の負傷者が退院