(CNN) 声がかれるまで絶叫するか、それとも歯を食いしばってこらえるか――。世界各地の遊園地に新たなジェットコースターが続々登場し、この夏はにぎやかになりそうだ。
米国のコースター愛好家グループACEの広報部門を率いる経済学者のデーブ・リプニッキー氏によると、遊園地業界では最近、設備投資の伸びが目立ち、革新的な乗り物が次々と新設されている。
近年の景気停滞でコスト削減のため新規のアトラクションを抑えていた業界が、一斉に息を吹き返しているようだ。「1000万~2000万ドル(約10億~20億円)規模のマシンを見るのは久しぶり」と、リプニッキー氏は声を弾ませる。
スリル満点の経験が期待できる世界の新作コースターを10台、アルファベット順に紹介する。
1.バンディット・ボンバー(アラブ首長国連邦アブダビ:ヤス・ウオーターワールド)
冬でも気温が20度を超えるアブダビで、今年1月にデビューした。各座席に備え付けたレーザー銃型の装置を操作し、地上に「水爆弾」を落とすといったスリルも味わえる。
全長515メートル、最高時速60キロ、高さ35メートル
2.バットマン・ザ・ライド(米イリノイ州:シックスフラッグス・グレートアメリカ)
1992年に誕生したこの吊り下げ式コースターには、これまでに2800万人以上が搭乗し、各地によく似たマシンも出現した。今夏は7月7日までの期間限定で、それがなんと後ろ向きに走る。
園長のハンク・サレミ氏は「10階の高さから後ろ向きに落下するのは最高のスリル。次に何が待ち構えているか、全くわからないのです」と話している。
全長822メートル、最高時速80キロ、高さ32メートル
3.ゲートキーパー(米オハイオ州:シダーポイント)
「ジェットコースターの世界的名所」を名乗るシダーポイントの16番目のマシンとして、5月に完成した。総工費2600万ドル。高さ52メートルの宙返りや高低差50メートルの落下、そして全長も世界トップだ。一番乗りのチケット、定員64人分がオークションにかけられ、最高で1351ドル(約14万円)の値がついた。
全長1269メートル、最高時速108キロ、高さ52メートル
4.ブレス・テイカー(トルコ・イスタンブール:ヴィアランド)
4月23日にオープンしたテーマパーク、ヴィアランドで、「キングコング村」とともに注目を集めるスイス製ジェットコースター。わずか3秒で最高時速110キロに達する。
全長1000メートル、最高時速110キロ、高さ65メートル
5.ザ・ジュエル(デンマーク:デューアス遊園地)
5月にオープンした「宝石」という名前のジェットコースター。全長は国内トップ。高速で走る車体が80度まで傾く、スリル満点の乗り心地だ。目を開けていられれば、マヤ寺院や滝、ジャングルを配した景色が楽しめる。
全長1000メートル、最高時速85キロ
6.アウトロー・ラン(米ミズーリ州:シルバーダラー・シティー)
今年3月にデビュー。木製コースターとしては初めて、2連続らせん回転と3回の宙返りを実現した。16階の高さから落下する傾斜81度の坂では、300回以上のテスト走行を繰り返したという。
全長895メートル、最高時速109キロ、高さ50メートル
7.ザ・ジョーカー(メキシコ市:シックスフラッグス・メキシコ)
一足先に夏のシーズンを迎えたメキシコ市のシックスフラッグスに登場。コース上で車体が360度スピンする。
全長411メートル、最高時速50キロ
8.ザ・スマイラー(英国:オルトンタワーズ)
総工費2700万ドル。設計チームは心理学の専門家を雇ってスリルを演出したという。14回の宙返りに加え、巨大な注射器や糸車、点滅するライト、回転ブラシなどの効果で「現実と幻の境界が揺らぐ」ような感覚を誘う。
全長1170メートル、最高時速85キロ、高さ30メートル
9.ザ・ストーム(イタリア・シチリア島 エトナランド)
エトナランドは、エトナ火山のふもとに広がるウオーターパーク。今年4月に新しく加わったテーマパークの目玉が、このジェットコースターだ。傾斜70度の坂やらせん回転、110度まで傾く車体が体験できる。
全長800メートル、高さ32メートル
10.名称未定(中国:海洋王国)
リプニッキー氏によれば、中国では約10年前に建築規制が緩和されてから遊園地のオープンラッシュが続いている。広東省・横琴島に30億ドル以上をかけて建設中の海洋王国もそのひとつ。
ここに今年10月、コース全長世界一という木製ジェットコースターが登場する。イルカをテーマにした1888室のホテルのほか、夜間動物園や高さ世界一の観覧車も計画されている。