福島近海からのマグロ、放射性物質のリスクは低水準 米調査

クロマグロ

2013.06.04 Tue posted at 10:58 JST

(CNN) 東京電力福島第一原子力発電所の事故が起きた時期に日本近海で孵化(ふか)したクロマグロに含まれる放射性物質の濃度は極めて低く、健康上のリスクが懸念される濃度をはるかに下回るという調査結果を、米ニューヨーク州ストーニーブルック大学の研究チームが発表した。

この調査結果は、2012年に発表された論文の追跡調査として、同大のニコラス・フィッシャー教授(海洋科学)のチームが3日の米科学アカデミー紀要に発表した。

2012年の調査では、福島第一原発事故から数カ月後の2011年8月に米カリフォルニア州サンディエゴ沖で水揚げされたマグロから、放射性セシウムが検出されていたことが判明した。

フィッシャー氏によれば、この結果が注目される一方で、「そのマグロを食べた場合にどのようなリスクがあるのかが理解されていなかった」ことから、データを改めて検証し、論文を発表することにしたという。

今回の調査の結果、問題のクロマグロを食べた場合に摂取される放射性物質の量は、放射性カリウムの濃度が高いことで知られるバナナ1本を食べた場合に比べて5%程度にとどまることが分かった。

一般的な米国人より魚類の摂取量が多い漁業専従者でさえも、原発事故の影響による放射性セシウムの被曝(ひばく)量は、歯科医でレントゲン検査を1回受けた程度にとどまるという。その影響は「最悪の場合を想定したとしても」、がんで死亡する人が1000万人ごとに2人増える程度だとしている。

比較のために2012年に水揚げされたクロマグロを調べた結果、セシウム134および137の濃度は、2011年に水揚げされたマグロに比べて約半分に低下していたという。

この結果を受けてフィッシャー氏は、「たとえ2011年の濃度であっても、(マグロを)消費した場合の被曝量は極めて低く、自然放射線の値を下回る」と解説している。

クロマグロについては、乱獲や水銀汚染の方が懸念すべき問題だとフィッシャー氏は指摘。長期間にわたって大量のクロマグロを食べ続けた場合、水銀による健康被害が出る確率は、放射性セシウムによってがんにかかる確率よりも高いと話している。

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