心配性でも心配いらない、「ネガティブ思考」を成功の呼び水に

2013.06.13 Thu posted at 09:00 JST

(CNN) 心配性でネガティブ思考の同僚にチャンスを与えてみよう。そうすれば、予想以上の成果をもたらす可能性がある。

こうした気質をもった人々は心理学用語で「ニューロティック」と呼ばれることもあるが、先ごろ発表された2つの新しい研究では、こういった人たちは第一印象を裏切り、チームの中で望外の成果を上げることが多いことが分かった。

反対に、仲間からは優れたリーダーだと見られがちな外交的で陽気な人物は、期待を裏切ることのほうが多いという。

2つの研究を主導した米UCLAアンダーソン経営大学院のコリーン・ベンダースキー准教授は、「しばしば人柄に基づいて下される、誰が良きチームメートになりそうかという直感的判断は、実際には間違っている」と指摘する。

一方の研究では、経営大学院生が数週間の共同作業の前後に相互の評価を行った。もう1つの研究でも同様に相互の評価を行ったが、メンバーの性格に関する情報は事前に与えられていた。

共同作業の開始前には、ニューロティックなメンバーへの期待や評価は低かったという。

しかし、直感的にはチームの足手まといになりそうなニューロティックな人が、実際には、特に共同作業において、熱心に良く働くことが判明した。

「ニューロティック」な人は共同作業に向いていそうだ

それは、ニューロティックな人が、仲間や同僚を失望させることを強く恐れるためだとベンダースキー准教授は説明する。

一方で、情熱的でエネルギッシュな外交的・陽気な人は、チームへの大きな貢献が期待され、研究開始当初はチームメンバーからの評価も高いが、期待を裏切りがちだという。

ベンダースキー准教授は、外交的で陽気な性格の人物の本質は注目の的になりたいということだと指摘。自らの意見を積極的に述べるため第一印象は良いのだが、人の意見をあまり聴こうとはしないため、共同作業においてはそういった気質が障害となることも多いという。研究では、こういった人々による貢献の印象は期待よりも小さなものだった。

チーム作業には向いていることが研究では分かったニューロティックな人々だが、一般的には職場での評価は低いままだ。

英ロンドン大学のエードリアン・ファーナム教授(心理学)は、「ニューロティックな人たちは精神的に不安定になりやすく、心配しがちで、気分屋だ」と指摘。他人の評価に敏感でもあると付け加えた。こういった性格面での特徴のため、ニューロティックな人とは付き合いにくいし、彼らは仕事でも成功しにくいと指摘する。

ただし、ファーナム教授は、目立ちたがり屋で尊大な傾向もある、外交的で陽気な人にも問題は多く、適度に社交的なくらいが理想的だとも主張する。

心配性は用心深さの表れ

そして、非常にニューロティックな人も絶望する必要はない。単に自分に合った仕事を見つければ良いのだ。

英国の人事コンサルタント会社の人材開発専門家スペンサー・ロード氏は、ニューロティックな人は、ミスを非常に恐れ用心深いので、財務やコンプライアンス、リスク評価の仕事に向いていると指摘する。

さらに、優れた会社経営陣などには、ニューロティックな人が含まれていることも多いとロード氏は語る。

ロード氏が関与しているある取締役会には、リスクを嫌い、正確さを求め、細部にもこだわる、財務担当のニューロティックな女性役員がいる。この役員は他の役員のアイデアをしばしば葬り去ることもありあまり人気はないのだが、経営陣に欠かせないメンバーとなっているという。

外交的で陽気な人は、人間関係の構築が得意で目立ちもするが、それだけだと、見せ掛けだけで中身のない人物だとも見られかねない。

採用のときには、候補者の性格と組織・チームとの相性も考慮すべきだとロード氏は考えている。

技能、資格や経験の面では申し分なくとも、他の社員とうまく行かなければその採用は失敗だと指摘した。

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