女性のほうが倫理的? 性差が及ぼす仕事への影響は

女性のほうが倫理的?

2013.07.19 Fri posted at 09:00 JST

(CNN) 高収入や出世といった仕事での成功のために倫理面で妥協することについて、女性は男性よりも消極的であることを示唆する研究結果がこのほど発表された。

ペンシルバニア大学経営大学院(ウォートンスクール)で行われた研究によれば、女性は男性よりも、仕事から「不道徳なもの」を連想する傾向にあることも分かったという。

女性のこのような傾向によって、経営学修士(MBA)のクラスや企業の幹部レベルにおける男女比の大きな格差を説明できる可能性がある。

研究を主導したウォートンスクールのジェシカ・ケネディー研究員は、より倫理的に振舞うことで、企業は有能な女性を引き止めておけるようになるかもしれないと指摘。男女間格差を抱える企業が、倫理的に仕事を遂行すべき新たな理由ともなりうるとの見方を示す。

今回の研究では3つの実験が行われたが、その中で最も示唆に富んだ実験では、詳しい職務内容や報酬などが決められた仮想の仕事を被験者にいくつか提示し、どの程度興味があるかを尋ねた。

一部の仕事では、職務をより良くこなすには反倫理的な行為も必要とされており、こういった場合、従業員は倫理性よりも利益や出世を優先すると予想されていた。

すると、倫理上の問題が存在する仕事に限って、女性は男性よりも、関心を示す度合いが平均的に低かった。

ケネディー氏は、そういった女性たちについて、仕事のために自分の価値観を犠牲にしなければならず苦しむことになると考えたのではないかと推測する。ケネディー氏は、出世はしたいが倫理面では譲れないという女性は、入社前に会社の倫理面での社風を調べるべきだと付け加えた。

また、この研究結果について、現実の世界での男女差に関する実態と一致するとの賛同が得られたという。

しかし、今回の研究以前には、女性の方が倫理性を重視するというような職場での男女の倫理観の差が語られることはなかったという。

ケネディー氏はその理由について、組織内において倫理に関する話はタブー視されており、自身が属する組織を強く非難することになる倫理面での批判はやりにくいのだろうとの見方を示す。

ただし、女性は仕事選びの際に倫理性を重視する、または、反倫理的行為を隠すか無視しがちなだけで、実際に仕事上、女性の方が男性よりも倫理的に振舞うのかどうかは不明だという。

女性に求める「イメージ」が出世の妨げにも

仕事における男女間の倫理観の差については不明な点も残るが、仕事上における振る舞い方や態度において、出世のスピードに性別が影響しそうな要素は他にもある。

職場における男女差についての著書もある米投資会社ローズ・パーク・アドバイザーズの共同創立者ホイットニー・ジョンソン氏は、最初から女性には交渉の場などで「譲歩」や「優しさ」が求められる事が多く、これが出世を妨げると指摘する。

さらにジョンソン氏によれば、女性は起業して出資を受けた場合には、出資分を損はさせられないと考えがちで、ほとんどの男性も、女性がそう考えることを当然視するという。

ジョンソン氏はまた、女性は「お返し」をすることを期待されているが、男性はそうではないなど、仕事場での人間関係で期待されていることが異なっている場合があるとも付け加えた。

このような考え方や行動パターンが根深く浸透しているため、女性は仕事上、損をしているのかもしれないが、ジョンソン氏によれば、このような女性の特性は、会社などにおける倫理規範を高めるためには望ましいものだ。

「荒っぽい男性が力を発揮しているような職場に女性的な特質を持ち込むことが、倫理面での向上には欠かせないというのが衆目の一致するところだ」とジョンソン氏は語る。

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