ネット決済「リバティリザーブ」、6千億円超の資金洗浄で摘発 米

リバティリザーブの摘発を発表する米ニューヨークの連邦検察

2013.05.29 Wed posted at 12:40 JST

ニューヨーク(CNNMoney) 米ニューヨークの連邦検察は28日、詐欺やなりすましといったサイバー犯罪が絡む多額の資金洗浄(マネーロンダリング)に使われていたとして、インターネット決済サービス「リバティリザーブ」を摘発し、幹部を逮捕したと発表した。同社のサービスは同日までに閉鎖された。

起訴状などによると、リバティリザーブはサイバー犯罪の金融拠点として機能し、クレジットカード詐欺をはじめ、なりすまし、投資詐欺、コンピューター不正侵入、児童ポルノ、麻薬取引など、幅広いサイバー犯罪を助長。60億ドル(約6100億円)の資金洗浄にかかわっていたとされる。

ネット決済サービスはコスタリカで運営し、キプロス、ロシア、香港、中国、モロッコ、スペイン、オーストラリアなどにあるペーパーカンパニーを通じて多額の資金を動かしていたとされる。

インターネット上では「最大の決済処理・送金システム」をうたい、米国の20万の顧客を含めて世界で100万を超す顧客が利用。年間1200万件の金融取引を扱っていた。口座を開設するのに身分証明書の提示は必要とせず、架空の人物による使用も認めていたという。

創設者のアーサー・バドフスキ容疑者ら幹部2人はスペインで24日に逮捕され、ほかに5人が訴追された。バドフスキ容疑者は元米国人で、コスタリカ国籍を取得。米国への移送に対して不服を申し立てているという。

米財務省は同日、リバティリザーブをマネーロンダリング組織に指定。米愛国者法に定められた権限を行使して、実質的に米国の金融システムから締め出した。他国でもリバティリザーブと取引のある銀行は、米国の銀行との取引ができなくなる。サイバー犯罪への資金供給絡みでこの権限を行使したのは今回が初めてだという。

ただ、リバティリザーブは正規の取引にも使われており、突然の閉鎖で問題に見舞われた顧客もいる。

そうした顧客の1社で、プリペイド式のデビットカードを海外の顧客向けに販売していた米イーペイカーズ(本社テキサス州)は、リバティリザーブの突然の閉鎖により、口座に2万8000ドル(約290万円)が残ったままになった。

イーペイカーズはこれまで、大手決済サービスのペイパルなどに比べて料金が安いなどの理由で、顧客にリバティリザーブの利用を勧めていたという。

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