アバクロCEO「太った人には着てほしくない」発言めぐり物議 パロディー広告も

2013.05.24 Fri posted at 16:37 JST

(CNN) ぱっとしない若者にはうちの服を着てもらいたくない――米人気服飾ブランド、アバクロンビー&フィッチのマイク・ジェフリーズ最高経営責任者(CEO)の7年前の発言をめぐり、これに抗議する活動がネットに公開されるなどして話題となり、ジェフリーズCEO本人が謝罪する事態となっている。

ジェフリーズCEOは2006年に、「どの学校にもクールで人気者の子はいるし、そうでない子もいる。率直なところ、うちが相手にしているのはクールな子のほうだ。魅力的でいかにもアメリカ人らしい、態度もよくて友達のたくさんいる子だ。多くの人はうちのターゲットではないし、なれない。排他的かと言われればその通りだ」とも述べていた。アバクロは実際、女性向けにサイズ10を超える大きいサイズは展開していない。

それから7年、最近になってこの発言がネットで大きな話題になり、発言への抗議として「アバクロの服をホームレスの人々に配る」様子を映した動画がネットに公開されて注目を集めた。この活動では、「間違って買ってしまった服を粗末にせずに、寄付しよう」と語りかけている。

これを受けて、発言そのものが蒸し返され、大きな話題に。ジェフリーズCEOが「不快感を招くような解釈が可能な言葉を選択したことを、心から後悔している」と謝罪する事態となった。

この騒ぎのなか、ジェス・ベーカーさん(26)はアバクロの広告のパロディーを作ることを思いついた。スタイルのいい男性モデルに女性モデルが絡むという構成は本物そっくり。違うのは女性モデルが肥満体のベーカーさんであることと、背景のロゴが「アトラクティブ&ファット(魅力的で肥満体)」という言葉に変えられていることだ。

「魅力的であることと太っていることが相いれないという考え方はおかしいと思う。あなたは納得しないかもしれないけれど、この2つは両立しうる」とベーカーさんは、ジェフリーズCEOへの公開書簡の形でブログに書いた。

ベーカーさんはCNNの取材に対し、パロディーを作ったのは発言に対する怒りからではないと述べた。

「学生時代はアートを専攻していたから、芸術的なことをやるチャンスを探していた」とベーカーさんは言う。「それらしい体形とそうでない体形を並べている広告は見たことがない。私は女で太っているから、これは自分でやるしかないと思った。男性モデルを連れて来て、対比を見せたかった」

ベーカーさんは、作品で怒りを表現しているわけではないと述べる。ただ、「『見て。すてきでしょう』と言いたいだけ」と語った。世間の反応も上々だという。

「私と同じような外見で同じ思いをしている女性たちに手を差し伸べたかった。太った女性がポジティブに描かれることなんてまずないから」とベーカーさんは言う。

「これはアバクロにXLサイズのシャツを作らせようという話ではない。皆、平等に価値があるということを世界に訴えたいだけ」と述べている。

「アバクロの服をホームレスに」 動画が話題に

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