海外での無人機攻撃で米国人4人を殺害、米政府が初の公表

2013.05.23 Thu posted at 17:45 JST

ワシントン(CNN) 米国のホルダー司法長官は22日、テロ組織掃討を狙いパキスタンやイエメンなどの海外で実施する無人機攻撃で殺害した米国人は2009年以降、計4人であることを明らかにした。

米上院司法委員会のレーヒー委員長宛ての書簡で表明したもので、米政府当局者が海外での無人機攻撃で殺害した米国人の数を公にしたのは初めて。4人の死亡そのものはメディアで報じられていた。

長官はこの中で無人機攻撃の明確な標的としたのは、イエメンで2011年に死亡したアルカイダ系「アラビア半島のアルカイダ」(AQAP)のアンワル・アウラキ師1人のみと説明した。同師は米国へのテロ攻撃を謀議していたとされる。

長官はまた、オバマ政権はアウラキ師とは別の3人を無人機攻撃で殺害したことは承知していると指摘。この3人は、AQAPの英語機関誌「インスパイア」を作成したとされるサミール・カーン容疑者、アウラキ師の16歳だったとされる息子にジュード・ケナン・モハメド容疑者。

同誌は爆弾の製造方法なども紹介していた。モハメド容疑者は米ノースカロライナ州を拠点にしたテロ組織に関与し、海外での米国人拉致、殺害やテロリストへの物的支援などの罪で訴追された。逮捕されたことはないが、パキスタンに一時滞在していたともされる。

カーン容疑者はアウラキ師と同じ現場で殺され、アウラキ師の息子は父が死亡した約2週間後に殺害された。米司法省はモハメド容疑者が無人機攻撃を受けた場所は明らかにしていない。ホルダー長官はアウラキ師以外の3人の殺害の経緯にも触れなかった。

長官は無人機攻撃による4人の殺害は機密情報扱いだったが、オバマ大統領の指示で公表に踏み切ったと指摘。オバマ氏は今年年初の一般教書演説でテロ対策での作戦などの情報は議会に提供し続けるなどの考えを示していた。

海外での対テロ作戦で殺傷能力を持つ兵器などを使って米国人を標的にすることは今年初め、ブレナン米中央情報局(CIA)長官の長官指名人事に関する議会聴聞会で問題が提起されていた。上院議員らはこの種の作戦遂行を合法化とする根拠の説明を求めていた。

また、一部議員は米本土内でのテロ計画への関与が疑われる米国人に対し無人機攻撃が適用される可能性があるとの疑念も抱いている。

ホルダー長官は昨年、これらの疑念を踏まえ、米政府が致死性の兵器使用の対象とする米国人は、アルカイダもしくは系列組織の幹部で、米国人の殺害計画への積極的な加担者に限るとの見解を示していた。

ホワイトハウスによると、オバマ大統領は23日、米国防大学で演説し、アルカイダや系列組織掃討の政策の詳細に言及する予定。無人機攻撃の必要性や正当性にも触れるとみられる。

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