米議会でアップルの「税金逃れ」追及、クックCEO証言へ

アップルのクックCEO。「税金逃れ」の指摘が

2013.05.21 Tue posted at 14:48 JST

ニューヨーク(CNNMoney) 米アップルが海外に資産を移転して米国での法人税課税を逃れていると指摘されたことを受け、ティム・クック最高経営責任者(CEO)が21日に米議会で証言に立つことになった。

これに先立つ20日、米上院のジョン・マケイン(共和党)、カール・レビン(民主党)両議員がアップルの納税状況に関する報告書を公表。「(アップルは)どこの国の課税対象にもならないと称する外国の子会社3社を含め、オフショア組織の複雑な網の目を通じて、米国で数十億ドルもの納税を免れている」と批判した。

報告書ではさらに、アップルが特殊な会計手法を駆使するとともに、交渉を通じて税金が2%未満しか課税されないようにしたアイルランドの複数の子会社を使って納税額を減らしていると指摘した。米国の法人税率は35%。

一例として挙げられたアイルランドの子会社の1社「アップル・オペレーションズ・インターナショナル(AOI)」は、従業員ゼロでアイルランドに実態はなく、役員会は米国で開かれて銀行口座も米国にあるという。

AOIは2009年~12年に300億ドルの収益を計上していながら、米国とアイルランドの法律の溝を利用して、いずれの国でも課税を免れていると報告書は述べている。

マケイン議員は同日発表した声明で、「米国経済の恩恵である創造力と機会を活用して著しい成功を収めた企業が、米国での課税を逃れるために利益を海外に移転し、故意に米国民の収入を奪うことがあってはならない」と強調した。

クックCEOらが議会で証言を行う

アップルの手法に違法性があるかどうかについては、いずれの議員も言及していない。

21日午前に開かれる上院常設調査小委員会では、クックCEOが証言に立ち、議員からの質問に答える。アップルのピーター・オッペンハイマー最高財務責任者(CFO)と、税務責任者のフィリップ・バロック氏も出席予定。

アップルは報告書に対し、インターネットに掲載した証言要旨で「米国に巨額の税金を払っている」「納税上のからくりは使っていない」と反論した。

税逃れのために子会社を使っているとの指摘に対しては、アイルランドの子会社は従業員約4000人を雇用し、「製造、流通、技術サポート、販売サポートなどを行っている」と説明している。

米国の法人税納税を巡っては以前から、米国企業が海外で現金を保有し、税率の低い国の子会社を通じて利益を移転しているとの批判が高まっていた。

アップルはこうした批判を踏まえ、米国の税制は「デジタル時代の到来と、急速に変化する世界経済に追いついていない」と主張。新しい法律の制定によって、この問題を解決すべきだと訴えた。

一方、マケイン、レビン両議員は、法人税制改革を通じ、米国企業が会計上の操作によって利益を海外に移転できなくする措置が必要だと主張している。

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