情熱・経験・コネ――中国での就活で外国人に必要なものは?

提示した賃金の裏づけが重要だという

2013.06.02 Sun posted at 18:11 JST

(CNN) 13世紀のイタリアの探検家マルコ・ポーロは、モンゴル帝国のクビライ・カーンの時代に中国の宮廷で働きながら17年間を過ごした。だが今日、中国で求職中の外国人のほとんどは、そこまで長期間の文化交流は望まないだろう。

ファッションモデルとして中国や他のアジア諸国を飛び回りながら、中国南部の大都市・広州市で4年間暮らしているロシア人のエイヌラ・アスケロバさんは、「ここは、お金を稼ぐ所だ」と割り切っている。

カザン大学でソフトウエア開発を学んだアスケロバさんはこの4月、広州市の中国マリオットホテルで中国政府が開催した外国人向けの就職説明会に、世界中から集まった何百人もの外国人にと共に正規の仕事を求めて参加していた。

鈍化はしても7~8%と相対的には高い経済成長が予測されている中国で就職するための説明会は、特に2008年の世界経済危機以降は、外国人求職者にとっては大変魅力的なものだ。

だが、特に欧米人にとっては、中国での就職は難しくなっている。

大手人材紹介会社ヘイズの中国での責任者サイモン・ランス氏は、外国人の希少性が薄れているほか、企業が有能な人材を求めているため語学力など以外にも中国に腰を据えて働く覚悟も必要だと指摘する。

中国の大学卒業生が政府の高等教育機関拡充策によりさらに増加することも外国人求職者にとり逆風となる。新華社通信によれば、昨年の大学の卒業生は700万人近くに上ったという。

ランス氏は、経験の浅い人材は供給過剰であるため、中国語を話せない外国人新卒者の就職はほぼ不可能だと語る。

中国でキャリアコンサルティング会社を経営するニック・クシネラ氏は、中国語が話せなくとも中国語と英語の履歴書を準備し、就職希望先に積極的にアプローチすることを勧めている。応募者の側で主導権を握り、見込みがありそうな雇用主や企業を狙うことが仕事を得るうえでの最良のルートだと指摘する。

クシラネ氏は「そういうことをする人は多くない。しかし、こうしたアプローチはとても受けがいい。多くの求職者は就職サイトをのぞいたり、検索エンジンを使うだけだ」と付け加えた。

一方で、特定の技能を有する経験豊富な人材については、多くの業界で求人の方が上回っている。

中国では大規模なインフラ整備のプロジェクトが進められており、ベテランの建築士や設計技師への需要は高い。また、中国内外の製薬会社による中国での研究施設への投資のために、製薬業界の人材への需要も旺盛だ。

クシネラ氏は、社員の生活や子育て環境などの良さをアピールすることも大事であることは中国企業も認識していると指摘する。

ただし、買い物では値切ることが一般的な中国では、就職活動のときにも雇用条件をめぐって「値切る」ような交渉となることもあり、欧米人には奇異に感じられるだろうともクシネラ氏は付け加えた。

一方、ヘイズ社のランス氏は、あらゆるポジションで中国人化を進める流れを感じている。

海外での長年の留学・勤務経験がある「海亀」とも呼ばれる中国人が強く求められているというのだ。中国人社員とも話せ、協調して働ける上に、欧米式のビジネスや経営スタイルにも通じている彼らは、異なる文化の橋渡しが出来るという。

外国人が、一層厳しくなる競争の中で成功を収めるためには、地元でのコネも非常に有益だ。

広州市で、ガールフレンドの知人を通じて営業の仕事を見つけたドイツ人のマックス・ストルツ氏は、仕事の上でもコネは非常に役に立つと語る。

ロシア人モデルのアスケロバさんにとっても同じだった。中国での仕事上の知人を通じて、モデルを続けながら出来る仕事を香港の貿易会社で得られたという。

「文化面での違いを克服しなければならないし、最初は(広州での生活は)、違いも大きく大変だったが、こんな街は他にはない」とアスケロバさんは目を輝かせた。

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