「慰安婦は必要だった」 橋下市長の発言が波紋呼ぶ

2013.05.15 Wed posted at 12:45 JST

(CNN) 日本維新の会共同代表を務める橋下徹大阪市長が、戦時中の旧日本軍の慰安婦は「必要だった」などと発言したことで、国内外に波紋が広がっている。

橋下氏は13日の記者会見で、戦争で戦う兵士たちの「休息」のために「慰安婦制度は必要なのは誰だってわかる」などと発言した。慰安婦問題は「戦争の悲劇の結果」との見方を示す一方、「当時は日本だけでなくいろんな軍で慰安婦制度を活用していた」と述べた。

同氏はまた、沖縄で米軍司令官に「もっと風俗業を活用してほしい」と訴え、「法律の範囲内で認められている」場所を「真正面から」活用してもらわなければ、米軍兵の「性的なエネルギーをきちんとコントロールできない」と話したことを明かした。

こうした発言に対し、日本国内の政治家からも批判が相次いでいる。下村博文文部科学相は、「あえて発言する意味があるのか」「党を代表する人の発言ではない」とコメント。稲田朋美行革相も同様の疑問を投げ掛け、「慰安婦制度は女性の人権に対する侵害」との見解を示した。菅義偉官房長官は記者団に「政府の立場は、筆舌に尽くしがたいつらい思いをした方々の思いに心が痛むというものだ」と話し、従来の認識に変化はないことを強調した。

戦時中の慰安婦の多くはフィリピンや中国、朝鮮半島の出身者だった。すでに亡くなったケースも多いが、ソウルの日本大使館前では何年も前から、元慰安婦の韓国人女性らが日本に謝罪と補償を求める運動を展開している。日本政府は、1965年の日韓基本条約で戦後補償問題は解決済みとの立場を取ってきた。

韓国外交省は橋下氏の発言に対して「失望」を表明。慰安婦問題が重大な人権侵害だったことは国際社会でも認識されているとしたうえで、「日本の指導層の人物が過去の過ちを反省し、時代錯誤的な認識と言行を是正することをいま一度求める」コメントした。

日本政府は93年、戦時中に慰安婦として大きな苦痛を経験し、傷を負った女性たちに「おわびと反省」を表明する談話を発表。歴史教育を通じてこの問題を記憶にとどめるとの決意も表明した。

だが戦争の歴史を巡る問題は、日本と韓国、中国との関係に今も影を落としている。

「慰安婦は必要だった」 橋下市長の発言が波紋呼ぶ

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