米空軍、核ミサイル担当将校17人を処分 遂行能力の欠如で

米空軍が核ミサイル担当の将校17人を処分=米空軍提供

2013.05.09 Thu posted at 19:06 JST

(CNN) 米空軍は9日までに、核ミサイルの運用管理や発射などに従事する将校17人に任務遂行の能力面で問題点が見つかったとし、職務はく奪の処分を科したことを明らかにした。

空軍の報道担当者によると、うち1人の将校にはミサイル発射コードが暴露されかねない不手際が見つかり、懲戒処分となっている。今回の措置についてはAP通信が最初に報じていた。

17人には任務遂行に耐え得る技能水準を回復させる60~90日の集中訓練への参加が命じられた。核兵器などの運用担当将校が再訓練を指示されるのは例年あるが、今回ほどの大規模な例は初めてとしている。

これら将校は米中西部ノースダコタ州マイノット空軍基地で大陸間弾道ミサイル「ミニットマン3」を運用する管制センターに配属されていた。17人の任務はく奪は、同基地でミサイル管理などに当たる第91作戦グループの副司令官(中佐)が打ち出した。

中佐は部下に流した電子メールで「作戦グループの責務に失敗した」と自戒。「規則の違反者をたたき出せ。我々は今、危機にある」と軍将校としては異例の強い調子で警戒感を露わにした。

また、核戦力管理などに特段の注意を配る警戒警報の状況下にありながら、兵器の安全規則違反や発射コードの露出の危機を許していたとも認めた。

空軍の報道担当者によると、17人の不適切な資格は今年3月に実施された通常の査察で発覚した。規則違反行為と受け止められかねない行為と認識しながら報告しない怠慢もあったという。

3月の技能評価はミサイル発射任務に関する22項目が対象で、17人の所属隊は当初、5段階での評価で3番目の「満足」の分類に入れられ、合格点を得ていた。しかし、1項目では「不満足」の1段階上に当たる「限界水準」での通過だった。

この後、発射コードの秘匿管理で不適切な行為が判明。同副司令官による部下への電子メールや17人の処分につながっていた。副司令官の処置は空軍最上層部の支持を得ているという。

副司令官による部下への伝達事項には、「テレビを消せ」「部隊記章や制服を清潔に。髪を切れ」「上官への悪口を言う将校がいたら私に即座に報告しろ」などの内容もあった。

核兵器担当将校にかかわる怠慢行為は以前も起きており、2008年には空軍当局が承知しない中で核弾頭搭載ミサイルを積んだ爆撃機が多くの州上空を飛行する事例もあった。

米国防総省は当時、冷戦後における核戦力任務を認識する上で集中力に欠けると空軍を厳しく批判していた。

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