平和な日常を揺るがしたテロ、ボストン市民の心に残る傷跡

ボストン・マラソン爆破事件は、住民の心に深い傷跡を残した

2013.04.22 Mon posted at 19:23 JST

(CNN) ボストン・マラソン爆破事件の容疑者捜索を受けて人通りが途絶え、一時ゴーストタウンの様相となった大都市ボストン。容疑者逮捕を受けて街は再び活気を取り戻したが、平和だと思っていた日常を揺るがす事件は、住民の心に深い傷跡を残した。

19日に行われた容疑者の捜索はボストン市内から周辺地域に及び、同様の事件がまた起きるのではないかとの不安は全米で強まった。

容疑者が潜伏していたウォータータウン地区に住む女性(39)は、「このような状況下に置かれている他国の人たちの気持ちが少し分かるようになった」「私たちは大きな不安に取りつかれた」と振り返る。

米国のほとんどの都市が経験したことのない現象を目の当たりにして、自分たちの日常生活がいかにもろいものかを思い知らされたという住民も多い。

ウォータータウンに住む別の男性は、商店が店を閉めて通りが封鎖される中で、いつまでこの状況が続くのかと不安を募らせたと話し、「自分たちは一体どれくらい安全なんだろうかと考えさせられた」と打ち明けた。

19日夜の犯人確保を受けて封鎖が解除された後も不安を捨て切れないという女性は、「まだ早すぎるのではないかという思いがずっと頭から離れなかった」と話す。

ボストン・レッドソックス本拠地に登場したニール・ダイヤモンド

自宅の周辺で銃声が鳴り響く中、妻と共にバスタブの中に隠れていたという男性は、翌日になっても震えが止まらなかったといい、「このような事態の後で元通りに戻ることはできない」とショックがさめやらない様子。

近所では弾丸が壁を突き抜けて子ども部屋に入った住宅もあるといい、「このアメリカの自分たちの家で、弾丸や爆発のために死ぬかもしれないという現実を突きつけられた。予想もしたことのない事態だった」と男性は言う。

20日のボストンはにぎわいを取り戻し、営業を再開したバーやコーヒーショップで誰もが事件について話し合った。普段の喧騒から一転、交通がほとんど途絶えたボストンの街を目の当たりにした住民は、「いまだにショック状態にある」と話した。

街の各所にはこの日も検問所が残り、爆破事件が起きたマラソンのゴール付近は追悼の花束に囲まれている。

一方、大リーグのボストン・レッドソックス本拠地フェンウェイ・パークでは、普段の生活を取り戻そうと、試合の8回で3万5000人以上のファンが恒例に従ってニール・ダイヤモンドの「スウィート・キャロライン」を合唱。72歳になるダイヤモンド本人もサプライズ出演し、「全米から愛を届けたい」と語りかけて大歓声を誘った。

ボストン爆破テロ容疑者拘束で住民から歓声

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