故サッチャー元英首相 「負の遺産」に根強い批判も

マーガレット・サッチャー氏。死後もなお評価が二分するという

2013.04.17 Wed posted at 13:18 JST

ロンドン(CNN) 今月8日に死去した英国のサッチャー元首相はその業績が世界で高く評価されているが、英国民の間では、貧富の差を広げるなど「負の遺産」を残したとの批判も根強い。

葬儀会場となったロンドン・セントポール大聖堂の主任司祭、デービッド・アイソン師はCNNとのインタビューで、「政権を退いて23年たった今もなお、サッチャー氏は意見を二分する人物だ」と指摘した。

「その理由のひとつは、同氏の政策が英国社会に残した痛みと怒りを、われわれがまだ受け入れていないからだ」という。

同師によれば、現政権が進める緊縮策によって、同じ傷が今また痛んでいる。「富裕層と貧困層の関係や、両者が対立せずに連携する方法など、重要な課題がある。葬儀はそれらを考えるきっかけになるだろう」と、同師は語った。

サッチャー氏は1975年に保守党党首となり、79年から90年まで政権を担った。

レーガン氏(左)とサッチャー氏=1989年1月

「鉄の女」と呼ばれた同氏は、同じ保守主義のレーガン米大統領と親しい関係を築くとともに、ソ連大統領となるゴルバチョフ氏を「一緒に話のできる相手」と評し、冷戦末期の国際政治で大きな存在感を示した。

一方で、強力な構造改革を「弱者切り捨て」と批判する「反サッチャー」の流れは今も根強い。

ロンドン中心部のトラファルガー広場では13日、活動家らが「サッチャー氏の死を祝うパーティー」を開催した。参加者は同氏をかたどった人形を掲げ、サッチャー政権時代に炭鉱労働者らが行ったストを再現するなどして気勢を上げた。

サッチャー氏の訃報を受け、インターネットの交流サイト「フェイスブック」では、米ミュージカル映画「オズの魔法使い」の挿入歌「鐘を鳴らせ!悪い魔女は死んだ」の購入を勧めるキャンペーンが展開された。この歌は14日の時点で、全英ヒットチャートの第2位まで上昇した。

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