北朝鮮の動静 金正恩体制発足後の動きを追う

北朝鮮の金正恩第1書記=KCTVから

2013.04.11 Thu posted at 16:51 JST

(CNN) 北朝鮮が韓国や米国に対して繰り返す挑発的発言により、朝鮮半島の緊張が高まっている。過去1カ月半にわたる金正恩(キムジョンウン)第1書記の威嚇は、これまでの北朝鮮と比較しても特に激しさを増しているとして、専門家らは懸念を示す。金第1書記が父・金正日(キムジョンイル)総書記の死去を受けて権力を継承してから、現在に至るまでの言動を振り返る。

2012年3月

韓国の首都ソウルで核安全保障サミットが開催される直前、北朝鮮は長距離弾道ミサイルとみられるロケットを発射台に移動した。

金第1書記の祖父・金日成(キムイルソン)主席の生誕100周年に合わせ、4月半ばにロケットを発射すると予告する。

2012年4月

オバマ米大統領が「挑発で得られるものは何もない」と警告するも、発射を強行。ロケットは空中分解して海に落下した。

2012年8月

金第1書記は、10年に韓国・大延坪島(テヨンピョンド)を砲撃した部隊を視察し、韓国との「聖戦」に備えよと激励。

米韓両軍による合同軍事演習を、「侵略戦争演習」と呼んで非難する。

2012年10月

米本土に到達可能なミサイルを開発したと発表。

2012年12月

人工衛星を打ち上げるため、改めて長距離ロケットを発射すると表明。

技術上の問題を理由にいったん打ち上げ延期を発表したが、そのわずか2日後に黄海側から発射し、成功を宣言した。

2013年1月

米国への対抗措置として、新たに核実験と長距離ロケット発射を計画していると発表する。

国連安全保障理事会はこの2日前、12月の打ち上げ強行に対する制裁強化の決議案を採択していた。

2013年2月

12日に地下核実験を実施する。

朝鮮中央通信は核実験の目的について「米国の敵対行為に対し、わが国の安全と主権を守るため」と伝え、米主導の制裁への対抗措置であることを強調。

「今回の核実験は、われわれが最大限の自制を示した第1の手段。米国側が敵対行為をやめずに状況を悪化させるようなら、より強力な第2、第3の手段に訴えざるを得ない」との立場を示した。

金正恩(キムジョンウン)第1書記=KCNAから

2013年3月

国連安保理は7日、北朝鮮の核実験実施に対する制裁決議を全会一致で採択。決議に反発した北朝鮮は、米韓への核先制攻撃の権利を主張する。

また朝鮮戦争の休戦協定の破棄を宣言し、南北軍事境界線上にある板門店の直通電話を遮断するなど、挑発的言動を繰り返した。

さらには朝鮮半島非核化共同宣言の完全白紙化を表明。軍幹部の発言として、核を搭載した大陸間弾道ミサイルが発射待機の状態にあると報じられた。

米当局は北朝鮮に米国を攻撃する能力があるとは考えていないが、オバマ政権は威嚇に対抗して、米西海岸に地上配備型迎撃システムを追加配備すると発表した。

米国はさらに、米韓合同軍事演習の一環として、B52戦略爆撃機が韓国上空を飛行したことを明らかにした。毎年恒例の合同演習だが、北朝鮮はこれに強く反発している。

北朝鮮は続いて、米ワシントンのホワイトハウスや国会議事堂へのミサイル攻撃を想定した約4分間のプロパガンダ映像を公開する。映像は北朝鮮の公式宣伝機関の名で、動画投稿サイト「ユーチューブ」に掲載された。

北朝鮮は米軍基地などを攻撃するためとして、軍部隊に待機命令を出す。国営メディアを通し、軍が戦闘態勢に入ると宣言した。これに先立ち米軍は、B52が再び韓国上空を飛行したと発表。さらにステルス機能を持つB2爆撃機やF22戦闘機も、合同演習に参加したことが明らかになった。

北朝鮮は米本土攻撃に向けたミサイルの準備が進んでいるとして、金第1書記と軍幹部らが米国の地図をバックに話し合う作戦会議の写真を公開した。

北朝鮮は韓国軍との直通電話を遮断した。

2013年4月

2日、北朝鮮は核問題を巡る6者協議の合意に基づいて停止していた寧辺(ヨンビョン)の原子炉を再稼動すると表明する。米国のケリー国務長官はこれに対し、北朝鮮の核武装は「受け入れられない」との警告を発した。

続いて北朝鮮は、各国大使館や国際機関に対し、武力衝突が起こった場合は安全を保証できないと通告。米当局者らはCNNに、北朝鮮東部でミサイル2基が移動式発射台に設置されたと語った。

緊張はさらに、軍事境界線の北側で北朝鮮と韓国が共同運営する開城工業団地に及ぶ。北朝鮮は、工業団地へ向かう韓国人従業員の通行を禁止すると発表した。

その直後には韓国にいる外国人に対し、武力衝突に備えて避難所の確保または退避を勧告する。日本は北朝鮮のミサイル発射に備え、迎撃の態勢を整えた。

米当局者が匿名でCNNに語ったところによると、北朝鮮はすぐにでもミサイル発射に踏み切る可能性がある。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。