ロンドン(CNN) 「鉄の女」と呼ばれ、冷戦末期の国際政治で大きな存在感を示したサッチャー元英首相が8日、死去した。87歳だった。
報道担当者らによると、サッチャー氏は同日、脳卒中を起こし、ロンドン市内のホテルで亡くなった。セントポール寺院での葬儀には、軍の参加も予定されている。
サッチャー氏は2002年以降、数回にわたって脳卒中を繰り返し、近年は公の場にほとんど姿を見せていなかった。12年末にはぼうこうの腫瘍(しゅよう)を切除する手術を受けていた。
イングランド東部の町グランサムで生まれ、食料雑貨商の娘として育ったサッチャー氏は、英オックスフォード大学で化学を学ぶ一方、当時から政治活動に参加していた。
下院議員、教育科学相を経て1975年に保守党党首となり、79年から90年まで英国初の女性首相として政権を担った。強い性格と政治姿勢で「鉄の女」と呼ばれた。
同じ保守主義のレーガン米大統領と親しい関係を築くとともに、ソ連大統領となるゴルバチョフ氏を「一緒に話のできる相手」と評し、冷戦終結に大きな役割を果たした。
82年のフォークランド紛争でも毅然とした指導力を示して、国民から広く支持された。
小さな政府を主張し、個人の力を重視した思想は、87年の「社会などというものは存在しない」という発言によく現れている。しかし、個人の財産に関係なく一律に課税する「人頭税」の導入を巡って反発を招き、90年に党首を辞任した。
サッチャー元英首相、87歳で死去