給食で学力向上・出席率アップ、成果挙げる貧困層向けプログラム インド

学校で給食を食べる子どもたち

2013.05.19 Sun posted at 18:01 JST

インド・ブリンダバン(CNN) 5歳未満の子どもの4割が低体重とされるインド。貧困層に対する食糧面での支援は課題のひとつだ。そんななか、貧困層向けの食糧支援プログラムとして、学校での給食の提供が大きな成果を挙げているという。

インド北部ブリンダバンに住む10歳の少女マヤさんは3人のきょうだいと一緒に毎日歩いて学校へ通う。おなかを空かせながら。親には子どもたちに十分な食事を与える余裕がないためだ。夕食にパンと牛乳は出るが、朝食はない。

マヤさんは長女として小麦の収穫を手伝うために授業を休むことがよくある。両親は学業よりも家の手伝いのほうが大切という考えだが、マヤさんには勉強以外にも学校に通う大きな理由がある。給食だ。マヤさんは「学校には家よりもたくさんの食べ物がある」と話す。

インドの最高裁は2001年、画期的な判断を下した。それは、国内の全ての公立学校で、13歳未満の生徒に対し無料の食事の提供を義務付けるというものだった。国連児童基金(UNICEF=ユニセフ=)によれば、インドでは5歳未満の子どもの40%超が低体重だ。

インドのNGO「アクシャヤ・パトラ財団」は政府と連携し、貧困層の子どもたち140万人に対して毎日食事を届けている。活動が始まった2000年当時はバンガロール南部で一部の学校の生徒数千人に対して食事を提供していたが、その後提供数が増加。10年以上の月日を経て、これまでに10億食以上を提供したという。

大量の食事を用意する調理場は工場のようだ

同財団のチャンチャラパティ・ダサ副会長によれば、給食の提供は様々な波及効果を生んでいるという。入学率が約20%増加したほか、出席率も改善した。子どもたちの健康状態も良くなり、学力も向上したという。

ダサ氏は「もし子どもたちが教室でおなかを空かせていたら、その子は十分な教育が受けられないだろう」と語る。

こうした大量の食事を用意するのは普通の調理場では難しい。そこはまるで工場のようで百万人を超える子どもたちのために新鮮な食事が大量生産されている。特注の炊飯器は15分で1000人分のご飯を炊くことが出来る。印刷機のような機械では丸く焼いた薄いパン「チャパティ」を1時間に4万枚調理できるといった具合だ。午前8時には食事を保温出来るように設計された特注車両で配達する準備が整うという。

同財団が気を使うのは調理過程の効率化だけではない。

ダサ氏は「インドでは500キロも移動すれば異なった文化、異なった言語、異なった食習慣にぶつかる。そのため、現地の文化的な要望や味付けにも気を使っている」と説明。「子どもたちに対しては尊厳を持って接したい。『あなたは貧しい子どもだから、私たちが出したものは何でも食べなさい』というのではなく、現地の子どもたちの要望に沿って調理法やレシピを考えたい」と付け加えた。

インドの食糧支援プログラム、調理場の様子を追う

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