会議を効率化するためには、歩け! 「散歩ミーティング」が静かなブーム

歩きながらミーティングをすることで効率化が図れるという

2013.04.08 Mon posted at 12:43 JST

(CNN) 米カリフォルニア州の経営コンサルタント、スティーブ・トバック氏は、何年も前の、とても細かい上司との1対1の苦痛に満ちたミーティングを思い出すことがある。しかし、ある日、ミーティングの代わりに散歩に行こうと誘われてからは、彼との、仕事上および個人的な関係は変化した。

外に出て青空の下で少し体を動かすと、驚くことにその上司は明るくなり、その後は、とても良い関係になれたと言うのだ。

参加者が全員立ったままで行うグループ会議がここ数年、人気を博しているが、先進的な企業では、歩きながら行う1対1の「散歩ミーティング」がはやっているという。

米アップル創業者の故スティーブ・ジョブズ氏をはじめ、交流サイト・フェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグ氏、短文投稿サイト「ツイッター」の創業者ジャック・ドーシー氏も散歩ミーティングの支持者として知られている。

最近では、アップルなど多くのIT企業で働き、経営幹部も務めたニロファー・マーチャント氏が、IT・デザイン・エンターテイメントの専門家が集うTEDカンファレンスで散歩ミーティングを激賞していた。健康に良い上に、会議室でのミーティングよりも一体感が高まるというのだ。

マーチャント氏は「横に並んで歩くことで、一緒に何かに取り組んでいるという視点が強化される」と説明する。

マーチャント氏が散歩ミーティングを始めたのは、運動する時間を十分に取れないためだった。だが、散歩ミーティングによって、仕事と健康維持のための時間の配分で悩まなくても済むようになった。

今でも週に1回、ジョギングかジム通いをしているマーチャント氏だが、彼女の運動量の70%は散歩ミーティングが占めている。

しかし、同僚を散歩ミーティングに誘うのは、これまでのミーティングの常識とはかけ離れていることもあり難しいこともマーチャント氏は理解している。また、一部の人は体力に自信がなく、そのことを恥ずかしく思っているとも彼女は語っている。

さらに、メモを取るのが難しいことや、携帯端末機器を使えないのは不安だという現実的な懸念もある。

しかしマーチャント氏は、重要な点についてはメモを取るし、携帯電話などは、ミーティング中は邪魔なだけだと主張する。

仕事中に血液循環を活発にすることのメリットを認めているのは、シリコンバレーの企業幹部だけではない。

オフィスで体を動かせば、生産性も向上するという

フィットネスの専門家による研究は、単に立ち上がるだけで、オフィスで働く人の思考力が向上することを示している。

米医薬品・健康関連用品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の子会社で、健康増進・生産性向上などで企業社員をサポートするコンサルティング会社ウェルネス・アンド・プリベンションのジャック・グロッペル氏は、職場で30分ごとに1回立ち上がって1~2分歩き回ることを、生産性を向上させる方法だとして推奨している。

体を動かし始めた直後の1~2分の間には、心拍数が少しだけ増加し、より多くの酸素が脳に届けられるというのだ。

この方法を90日間試した従業員は、よりエネルギッシュになったほか、集中力が増し、仕事に取り組む意欲も向上したと感じていたという。このため、グロッペル氏は、資料を読みながら歩くことを勧めている。

そして、このような方法の普及のためには、企業経営者が、会議中に定期的に立ち上りストレッチをすることを容認し、率先することが必要だとも同氏は主張している。

経営コンサルタントのトバック氏によれば、散歩ミーティングの普及のためにはもう1つの障害があると指摘。「人々はますます怠惰になり、運動をしなくなっている」と付け加えた。

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