ミャンマー衝突、死者40人に 米大使館が警戒促す

2013.03.27 Wed posted at 10:19 JST

(CNN) ミャンマーで仏教徒とイスラム教徒の対立が激化し、26日までの1週間で少なくとも40人が死亡した。商業都市ヤンゴンでも住民の間に不安が広がり、米大使館は同日、ミャンマーに滞在する米国人に警戒を呼びかけた。

衝突はミャンマー中部マンダレー地域のメイティラで発生して周辺に飛び火した。ヤンゴンなどの各地では、携帯メールやソーシャルメディアで事実無根のうわさが流れて住民の不安をあおり、ヤンゴンの主要商店街の店舗は25日の営業を中止した。

米大使館は、営業中止となったミンガラ市場やショッピングセンターのユザナプラザ付近の地域には近づかないよう米国人に呼びかけ、「緊張状態が続いた結果、同地区で衝突が起き、警察官が大量に動員されている」と指摘した。ただし米国人が具体的な危険にさらされているわけではないとしている。

ミャンマーの国営紙が26日付で伝えたところでは、メイティラでは先週の暴動で破壊された建物などのがれきの中から新たに8人の遺体が見つかり、これまでに確認された死者は40人に達した。

メイティラの暴動はイスラム教徒の商店主と仏教徒の販売業者との争いが発端となって、民家や学校、モスクなどが放火され、数千人の住民が自宅から避難を余儀なくされた。

ミャンマーのテインセイン大統領

ミャンマー政府は22日、同地に非常事態を宣言し、軍を派遣して秩序の回復に当たった。しかし当局は、週末にかけて仏教徒の集団による放火が周辺地区で相次いだとしている。

国営紙によれば、テインセイン大統領は25日、「暴力を主導した者、暴力にかかわった者を摘発し、宗教にかこつけて衝突をあおった者を見つけ出す」と表明した。

国連の人道部門は25日、今回の暴動により、ミャンマー政府の推計で1万2000人以上が学校や寺院などに避難していることを明らかにした。政府は避難してきた人たちに人道援助を提供しているという。

メイティラの犠牲者には仏教僧も含まれると伝えられたが、同地の野党議員は26日、犠牲者の大半はイスラム教徒だったとの見方を示し、「イスラム教徒の住宅は大部分が破壊されたり焼失したりして、ほとんど残っていない」と語った。

警察は街を歩き回っていた仏教徒の集団から刀剣などを押収したと当局者は説明。この集団の中には僧侶もいたとしている。

ヤンゴンで仏教系の住民が多い地区に住む仏教徒の国連職員は26日、家族の身を案じて別の地区に住む親類の家に避難させたという。

ミャンマーで仏教徒とイスラム教徒の衝突拡大

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