(CNN) シリアの内戦で化学兵器の使用が伝えられた問題で、米軍当局者は21日、CNNの取材に対し、初期段階での調査では、シリア政府が化学兵器を使用した形跡はみられないとの見方を明らかにした。一方、国連はシリア政府の要請を受け、独自の調査に乗り出すと表明した。
シリアでは19日、アサド政権と反体制派の双方が、化学兵器を使ったとして互いを非難していた。これについてオバマ大統領をはじめとする米当局者は、反体制派による化学兵器の使用を裏付ける証拠はないと述べていた。
米軍高官は今回、匿名を条件にCNNの取材に応じ、シリア政権側についても「ここ数日の間に化学兵器を使っていないことを示す有力な根拠がある」と述べ、現時点では「兵器化された化学薬品」は使用されなかったとの見解に至ったことを明らかにした。
同高官によれば、シリアで病院に搬送された人たちの映像を調べたところ、化学兵器が使われたような症状は見られず、そうした症状に対する治療も行われていないことが分かったという。
また、北大西洋条約機構(NATO)と米国のレーダーや衛星でも、化学兵器が使われたとされる時間帯のミサイル発射は検知されなかった。
専門家は、塩素のような薬品が使われた可能性はあると指摘する。しかしこうした薬品は、国際条約で化学兵器と定義している神経ガスやびらん剤とは異なる。
一方、国連の潘基文(バンギムン)事務総長は、この問題についてできるだけ早い時期に調査を開始すると表明し、全関係者に協力を求めた。国連の調査は、アサド政権が書面で正式に調査を要請したことを受けたもの。一方、反体制派も政府が化学兵器を使ったとして調査を求めているが、潘事務総長は、この主張についても調査対象とするかどうかは言明しなかった。
米高官「シリア政府は化学兵器使用せず」