スーダン、裁判官に手足切断刑の執行訓練を実施か

2013.03.18 Mon posted at 17:54 JST

(CNN) スーダンの裁判当局幹部はこのほど、有罪宣告を受け手足切断の刑を言い渡された受刑者への刑執行を巡り、医師が執行を拒絶した場合に備えて、同国の裁判官が刑を執行できるように訓練を開始する可能性があるとの見方を示した。

同幹部によれば、手足切断に協力しない医師は処罰を受ける可能性もあるという。

同幹部は、イスラム教の「ハッド刑」と呼ばれる刑罰のうち、最も厳しい刑の適用をスーダン政府が停止したことはないと説明。2001年以降、16人が手足切断の刑に処せられたと語った。

今年2月14日には、高速道路上で起きた強盗事件で有罪宣告を受けた30歳の男が、3人の医師により右手と左足を切断する刑に処せられたと伝えられている。

手足切断の刑を巡っては非難の声が上がっている。特にスーダン人の医師で組織する組合は、国の命令に従えば、人を守ることを旨とする医師の倫理に反することになるとして、刑執行を強く批判していた。

スーダンには手足切断の刑以外にも厳しい刑罰がある。2005年以降、不貞の罪で有罪となった数千人がむち打ちの刑や石打ちの刑の対象となった。

昨年7月には、6カ月の赤ん坊を持つ23歳の母親が不貞の罪で有罪とされ、石打ちによる死刑判決を受けた。母親には弁護人が付かず、また「石打ち」の意味さえ解していない状態だったが、裁判官は問題ないとした。首都ハルツーム近郊の刑務所でも赤ん坊のいる母親が同様の刑を宣告された。

これに対し、スーダン国内や国際社会の人権活動家らが大々的なキャンペーンを実施。その結果、この2人の母親は無事解放されたものの、このような幸運にめぐり合えない人は多い。

スーダンではほとんど毎日、微罪で起訴された人が略式裁判を受けて有罪とされ、むち打ちの刑を受けている。20~100回もむちで打たれる刑の多くは公開の場所で行われ、非人間的で侮蔑的であり、拷問に近いこともある。

これらの刑は、スーダン政府が順守を誓った国連自由権規約をはじめとする国際人権法に明らかに違反する。

憲法の見直し作業を進めている中、スーダン政府が国際法を順守し、身体刑や死刑の問題に最優先で対応することは避けられないだろう。

悲惨な刑罰が停止され、二度と執行されないように、法が適用され尊重される必要がある。

本記事は、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルのアフリカ地域のプログラムでディレクターを務める、ネットサネット・ビレー氏によるものです。記事における意見や見解は全てビレー氏個人のものです。

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