フェイスブックのサンドバーグ氏は「特別」? 働く女性めぐる著書に賛否

フェイスブックのサンドバーグCOO

2013.03.13 Wed posted at 19:39 JST

(CNN) 働く女性たちのお手本か、それとも特殊な成功例にすぎないのか――。米交流サイト大手フェイスブックで最高執行責任者(COO)を務めるシェリル・サンドバーグ氏(43)がこのほど、女性のキャリアをめぐる著書を出版したが、その内容に称賛と批判の両方の声が上がっている。

11日発売の「Lean In: Women,Work,and the Will to Lead」は、サンドバーグ氏の初めての著書。働く女性が自分のキャリアと人生をどう歩むか、というテーマに取り組んでいる。

サンドバーグ氏は首都ワシントンに生まれ、フロリダ州南部で育った。眼科医の父と、3人の子どもを育てるために教師をやめた母。一家は旧ソ連のユダヤ人を熱心に支援していて、同氏も文通相手のソ連の少女たちと心を通わせた思い出を持つ。

ハーバード大学で2つの学位を取り、世界銀行のスタッフを経て、クリントン政権時代にサマーズ財務長官の首席補佐官を務めた。IT業界に転じて米グーグルの広告事業を主導した後、フェイスブックへ。輝かしいキャリアをたどりながら、2児の母として仕事と家庭のバランスに心を砕く。まさに理想的な女性像だとたたえる意見も多い。

これに対して、同氏を現在の地位まで引き上げたのは男性有力者たちの力だと指摘する声がある。

大学の恩師だったサマーズ氏に認められ、グーグルのシュミット会長やフェイスブック創業者のザッカーバーグ氏に起用されたからこそ、ここまでたどり着けたといえるだろう。

何億ドルもの資産を手に入れた今は、サンフランシスコ郊外の高級住宅地に建つ広大な邸宅で、多くの使用人に囲まれて優雅に暮らす。一般の「働く母親」像とはかけ離れた生活だという批判も聞こえてくる。

シリコンバレーは男性優位の社会。米ヤフーのメイヤー最高経営責任者(CEO)のような数少ない例を除けば、女性たちの道は険しい。IT業界は技術者の天下であることも事実だ。ザッカーバーグ氏は、自分のやりたくない業務を扱ってもらうためにサンドバーグ氏を雇ったとも言われている。

そんな世界を生き抜きながら、母親としてのストレスとも闘ってきた同氏が、後に続く女性たちに激励の言葉をかけたくなるのは当然のことかもしれない。

著書の章には「男性ともっと肩を並べて」「出世のはしごを一直線に上るのではなく、ジャングルジムのようなキャリアを」「何もかも全部こなそうと思わないで」といったアドバイスが並ぶ。

サンドバーグ氏が子どもとの時間を確保するため、毎日5時半に帰途に就けるのは、自分でそう決められる地位にいるからだ。ただ、これほどの成功を収めながら、同氏の言葉からは「率先して手を挙げるタイプではなかった」という学生時代からの控えめな性格がうかがえる。

「自分が本を書くことになるとは思わなかった」と話すサンドバーグ氏。職場の仲間と何年も話し合った末に執筆を決意したという著書では、「Lean In」(前に乗り出そう)というタイトルの通り、女性に「大志を抱こう」と呼び掛けている。

「働く女性」めぐる著書に賛否 サンドバーグ氏にインタビュー

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