漂着する東日本大震災のがれき、魚や鳥の胃袋にも 米ハワイ

海岸に流れ着いた巨大津波で流されたがれき

2013.03.12 Tue posted at 11:48 JST

ハワイ島(CNN) 2011年の東日本大震災の巨大津波で流されたがれきが太平洋を渡り、ハワイ島の海岸に漂着している。地元の研究者らによると、魚や鳥の胃袋からも大量のプラスチック類が見つかっている。

静かな岩場が続くハワイ島南端のカミロビーチ。よく見ると、砂に交じってボトルのふたや牛乳ケースの破片、歯ブラシのかけらなど、色とりどりのプラスチック片が点在する。

地元の環境保護団体、ハワイ野生生物基金によれば、アジア方面から米本土へ向かって流されるプラスチック片などの漂着は何年も前から問題になっていたが、日本の巨大津波でさらに悪化した。日本政府によると、津波で流されたがれきの量は150万トンに上る。

同基金で漂着物の問題に取り組むメーガン・ラムソン氏が示すビールケースの破片やウイスキーのボトルには、日本語の文字が書かれていた。昨年秋以降、日本の冷蔵庫や冷凍庫、ブイ、さらには漁船などが流れ着いているという。

ラムソン氏は、動物がかんだ跡の残るペットボトルを見て「えさと間違えているのでは」と心配する。

その事実は、米海洋大気局(NOAA)の生物学者、レズリー・ジャンツ氏の研究室で確認された。同氏が取材陣の前で解剖してみせたミズウオの胃袋からは、約30センチ四方のポリ袋の切れ端が出てきた。

岩手県陸前高田市は2年前の東日本大震災時に津波で大きな被害を受けた

ジャンツ氏が調べたさまざまな種類の魚64匹のうち、12%からプラスチック類が見つかった。ミズウオに限定すると、その率は45%にも上ったという。ミズウオはムツやキハダマグロのえさとなり、最終的には食卓に上る可能性がある。

また、飲み込まれたプラスチック類から出る化学物質が魚の体に吸収される危険性も否定できない。

一方、ハワイ・パシフィック大学の海洋学者デービッド・ハイレンバック准教授は、水鳥への影響を研究している。同氏が解剖した生後2カ月のアホウドリの胃袋は、8割がプラスチック片で満たされていた。薬品チューブのふたや、ヘアブラシの一部などが交じっている。

同氏が示す箱の中には、おもちゃの兵士やライター、ブラシなどが詰まっていた。どれもハワイのアホウドリの体内から見つかったという。「大きさの差こそあれ、私が調べた鳥はすべてプラスチックを飲み込んでいた」と、同氏は話す。

どこからやって来たのか判別できない漂着物も多いが、NOAA太平洋諸島地域調整官のカーリー・モリシゲ氏は「日本のだれかの家にあった物がこんなに遠い海岸まで流されたかもしれないと思うと、悲劇の大きさを実感する。陸と海のつながりの深さも思い知らされる」と語った。

震災時のがれきがハワイに漂着

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