出世のためには友を捨てよ? 「同類」との付き合いが足かせにも

「同類」とだけ付き合っては出世レースで勝てない?

2013.03.22 Fri posted at 09:00 JST

(CNN) 新しい仕事に就いた時、最初は、同じような経歴や気質を持つ人と仲良くなるのが普通だろう。だが、そこで得られる快適さに浸り過ぎるのは危険だ。最新の研究で、自分と同類の人とばかり仲良くすることは、いずれは出世などへの妨げになる可能性があることが分かった。

職場では、時には無意識のうちに、民族や性別、宗教などが同じ人と親しくなる傾向があるということは、「同種親和性」として社会学者の間では何十年も前から知られている。

フランスの経営大学院インシアードが発表した研究によれば、同種親和性に基づいた人脈から得られる情報は、新しい仕事に就いた後、初期の段階では有益であることが分かっている。

この研究を主導した1人であるシンガポールマネジメント大学のゴクハン・エルタグ助教授(経営戦略論)は、新しい職場では、立場は非常に不安定で権限もほとんど与えられないが、同類の人と話すことで何がしかの情報を得られると指摘する。

しかし、出世をしたり、仕事で成果を上げたりした後もこの最初のグループだけにとどまっていることには、影響力や、職場での立場、信用の面などでマイナスの影響が大きいこともこの研究では分かっている。

研究では、正確な情報やコミュニケーション、人脈形成などが職務遂行において重要となる投資銀行の社員をケーススタディーの対象とし、調査対象者について、出世のスピードと、同じ国籍の人との親密度の高さとの相関関係を調査した。

最初に親密になったグループから得られるものが少なくなったからといって、そのグループを離れ、よりメリットの多いグループに新たに加わるということは、人間関係の面では難しい面もあるだろう。

しかし、新しいプロジェクトに加わったり、他の部署へ異動したりする事でこれをスムーズに実行できるとエルタグ助教授は指摘する。

職場でのマイノリティー(社会的少数派)に属する人ほど、快適さを求めて同類の人々と親しくなる傾向があるが、同類以外の人々との人脈を広げなければ、出世などへの大きな妨げとなる可能性があると、人材開発やキャリア形成について助言する専門家は見ているようだ。

マイノリティーのキャリア形成を支援する非営利組織(NPO)を米国で運営するジョン・ライス氏は、より高いレベルに達すると、同類の人とだけで築いた人脈などでは出世などもおぼつかなくなることがあると指摘する。

米国のほとんどの組織の幹部レベルにおいては、女性などのマイノリティーは特に少ないことも多いため、自分と同類ではないが、有能で出世も早い上司や、同僚、部下と幅広く交流することが、マイノリティーに属する人にとっての成功につながるとライス氏は主張する。

香港で経営コンサルティング会社を経営するファーン・エンガイ氏は、アジアにおいても職場で、女性や子育て中の社員、同性愛者などを支援する動きが広まっていると指摘する。

ただし、企業にとっては、才能のある人材を育てるためには、様々なキャリア形成の道筋や、他の部署の仕事についても学べるように、多様な人脈形成を従業員に促すことも重要だという。

エンガイ氏は、様々な職種の才能溢れる人材が会社の経営幹部などからも学べるように、社内の交流イベントといったものが必要だと説明する。

そのような機会により、才能ある人材の士気も高まるし、人脈形成や社内での幅広い交流の促進は、会社の経営にとっても重要だとエンガイ氏は指摘した。

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