世界で最も危険な孤島? ひとりの時間を求めて

ノルウェー領スバールバル諸島の最南端の島、ビュルネイ島 写真提供=PETER PROKOSCH

2013.03.02 Sat posted at 09:00 JST

(CNN) 近頃のくだらないテレビ番組やアプリを見て21世紀に失望したら、世界で最も孤立した島々で「自分だけの時間」を満喫してはいかがだろうか。

ただし、黄金の砂や風に揺れるヤシの木などを想像してはいけない。現実の孤島はそんなに甘くはない。

トリスタン・ダ・クーニャ (南アフリカから1750マイル)

南大西洋に浮かぶイギリス領トリスタン・ダ・クーニャ諸島は、南アフリカから1750マイル(約2816キロ)、南米から2000マイル(約3219キロ)の距離にあり、世界で最も孤立した諸島と言われる。

トリスタン・ダ・クーニャへの行き方:決して楽な旅ではない

公式サイトには次のように書かれている。

「旅行者向けのパッケージツアーはなく、現地にはホテル、空港、観光案内所、ナイトクラブ、レストランは一切ない。またジェットスキー場や安全な海水浴場もない」

訪れる際は、事前にアイランド・カウンシルの許可を得る必要がある。また犯罪経歴証明書も取得する必要がある(通常、取得に40日かかる)。

南アフリカのケープタウンとナミビアからトリスタン・ダ・クーニャに向かう船が毎年約10便出ている。いずれも到着まで5~6日かかり、料金は往復で800~1500ドル(7万4000~13万8000円)。利用可能な船は公式サイト(www.tristandc.com)で確認できる。

ビュルネイ島 (欧州北岸から400マイル)

島全体がほぼ完全に氷河で覆われているブーベ島 写真提供=NASA

ビュルネイ島は、欧州本土の北400マイル(約644キロ)、ノルウェー領スバールバル諸島の南約150マイル(約241キロ)に位置し、2002年に自然保護区に指定された。

この島は、不毛な崖だらけで、降水量はほぼゼロ、おまけに島の近くで沈没した原子力潜水艦の船体から放射性物質が漏れ出す危険まである。しかし信じ難いことに、この島には多くの国々が実効支配しようとして失敗した歴史がある。

ビュルネイ島への行き方:スバールバル諸島の中心まで行くのは比較的簡単だ。ノルウェーのオスロとトロムソから、スピッツベルゲン島西岸にあるスバールバル最大の町ロングイェールビーンまで毎日飛行機が飛んでいる。

しかし、ここからが厄介だ。ノルウェー極地研究所(NPI)などの調査船がまれにビュルネイ島を訪れる。個人的にボートをチャーターするか、まれにしか運航されないが(ポーラークエスト社などの)アドベンチャー・クルーズに参加する手もあるにはある。

ブーベ島 (南極大陸から1000マイル)

トリスタン・ダ・クーニャが世界で最も孤立した有人島なら、ブーベ島は世界で最も孤立し、さらにトリスタン・ダ・クーニャよりもはるかに殺風景な無人島だ。

島は切り立った崖だらけで、ほぼ完全に氷河で覆われ、冬は周りの海水が凍りつく。

最も近い陸地は南極大陸だが、約1600キロも離れている。

ブーベ島への行き方:島全体が自然保護区に指定されているため、どうしても訪問しなければならない事情がない限り、ノルウェー当局によって訪問を阻止されてしまう。

セント・キルダ群島の1つ、ボーレー島 写真提供=WWW.RCAHMS GOV.UK

訪問の許可さえ得れば、あとは調査船を見つけて、地質調査や海洋生物学などの技能を急いで習得し、誰かにヘリコプターで島へ連れて行ってもらうだけだ(島に港はない)。

ビショップ・ロック (イングランドから30マイル)

ビショップ・ロックは、イギリスのシリー諸島の端に位置し、建物が立っている世界最小の島としてギネスブックに認定されている。

1847年に技術者たちが鉄製の灯台の建設を開始したが、嵐で流されてしまった。1858年に後継の灯台に初めて光がともされた。この灯台は現在も島に存在する。

ビショップ・ロックへの行き方:イギリスの最南西に位置するこの島に行くのは驚くほど簡単だ。セント・メリーズ・ボートメンズ協会がビショップ・ロックへの日帰り旅行を提供している。

ボーレー島 (スコットランド本土から60マイル)

アウター・ヘブリディーズ諸島から大西洋を西に向かうと、40マイル(約64キロ)先にセント・キルダ群島が見える。

セント・キルダ群島はスコットランドにある5つの世界遺産の1つで、本島は不作だった1930年代に住民に放棄された。先史時代に、最も居住に適していない島の1つであるボーレー島に人が住んでいたことを発見した時の考古学者たちの驚きは想像に難くない。

ボーレー島への行き方:ボーレー島は、ボランティア団体、ナショナル・トラスト・フォー・スコットランド(NTS)の保護下に置かれているため、訪問するには同団体の許可を得る必要がある。

その後に必要なのは多くの時間と運だ。岩だらけの海岸線に荒れ狂う海。決して上陸に適した島ではない。

インド洋のベンガル湾内にある北センチネル島 写真提供=NASA

あるガイドによると、1957年にスコットランドのナショナル・トラストが島の所有権を取得して以来、ボーレー島に上陸した人の数は、エベレスト登頂を果たした人の数よりも少ないという。

北センチネル島(ミャンマーから400マイル)

北センチネル島は、インド洋のベンガル湾内にあるインド領アンダマン諸島を構成する572の島の1つだ。

北センチネル島は危険な礁に囲まれている。また島民は現代社会との関わりを避けており、これまで何度も平和的に接触する試みがなされたが、いずれも島民に拒絶されている。

北センチネル島への行き方:2006年に同島に漂着した2人の漁師が島民に殺害される事件が起きていることから、訪問は避けるべきだ。

ロッコール島(アイルランドから270マイル)

ボーレー島訪問が無理と感じたら、ボーレー島の西187マイル(約300キロ)にあるロッコール島を目指してはいかがだろうか。ロッコール島は、海面からの高さが20メートルの休火山の先端だ。

1955年に大英帝国は、ソ連がロッコール島にミサイル発射台を設置するとの懸念から、最後の領土獲得の過程でロッコール島を取得したとされる。

ロッコール島への行き方:最近設立されたばかりのロッコール・クラブの言葉を借りると「ロッコール島訪問は難しい。完全に天候次第の上に費用もかかる」

セント・キルダ群島へのクルーズ旅行を提供しているキルダ・クルーズに連絡し、自分に適した旅行を計画するのが一番確実だろう。

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