米ヤフーの「在宅勤務禁止」 ネットで賛否両論

生産性の向上につながるか

2013.02.27 Wed posted at 15:15 JST

(CNN) 米ヤフーが社員の在宅勤務を禁止する方針を発表したことに対し、IT業界にとどまらず各方面から賛否両論が噴出している。新方針が伝えられた25日以降、ネット上では何千件もの意見が飛び交っている。

インターネットの交流サイト(SNS)「グーグル・プラス」には、息子の手術を在宅勤務で乗り切ったという母親から「ばかげている。私はヤフーを志望していなくてよかった」と書き込みがあった。この女性は大手IT企業の社員ではない。ヤフーの発表は業界を問わず、幅広い層の注目を集めたようだ。

遠隔勤務に関する調査とコンサルティングを手掛ける米テレワーク・リサーチ・ネットワークが2011年に実施した調査によると、オフィスから離れた場所で勤務する米国人の数は、05年からの6年間で73%も増加した。

ヤフーは26日、「これは業界全体としての意見ではなく、現時点でヤフーにとって何がベストかという問題だ」とする短いコメントを出した。

だがネット上の議論はヤフーの方針自体というより、「技術革新に適した職場づくり」や「勤労意欲と生産性の関係」を焦点に展開されているようだ。

心理学者のイブ・アッシュ氏は、チームで力を合わせることが飛躍的な技術革新につながると肯定的な見方を示す。

米ヤフーの「在宅勤務禁止」がネットで論争の的に

社会学者のレイモンド・フィスマン氏もCNNに寄せた論考で、「企業の方針は面と向かって話すことで最も効果的に伝わる」「新しいアイデアは偶然の出会いから生まれる」との説を展開し、ヤフーの決定に共感を示した。

ITブログを執筆するショーン・ファーナー氏は「ヤフーが必要としているのは本社ビルの中を歩き回り、同僚と昼食をともにし、ホワイトボードの前で意見を出し合い、モニターを囲む社員だ。仲間意識を重視する小さな新興企業と同じことだ」と主張する。

一方、否定的な見方もある。

英ヴァージン・グループ創業者のリチャード・ブランソン氏は、人とうまく仕事をするための基本は「働く場所や監督の有無にかかわらず、職務を全うしてくれると信じることだ」と指摘する。

米IBMの元社員、リン・ダング氏も交流サイト「フェイスブック」のコメントで、ヤフーの方針に反対を表明。その理由として、(1)生産性の低い社員はどこにいても同じ(2)現在トップクラスの業績を挙げている社員を失う恐れがある(3)新方針は管理主義と不信感の表れであり、意欲向上にはつながらない――の3点を挙げた。

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