ロス空港、アカデミー賞候補のパレスチナ人監督を一時拘束

2013.02.22 Fri posted at 09:00 JST

ロサンゼルス(CNN) 今年のアカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞候補作のパレスチナ人監督が同賞式典に参加するため米ロサンゼルス空港に19日夜到着した際、式典への招待状の正当さを疑われ、一時「拘束」される騒ぎがあった。同監督の代理人がCNNに20日明らかにした。

同行した監督の妻や8歳の息子も同様に留め置かれたが、疑いが晴れたためか3人は入国を許されたという。

被害を受けたのはイマード・ブルナート監督で、窮状を訴えるため空港内から電子メールで代理人や著名な米ドキュメンタリー映画監督のマイケル・ムーア氏に連絡。ムーア氏は短文投稿サイト「ツイッター」で米税関・国境警備局の対応に触れ、「パレスチナ人がアカデミー賞候補者であることを理解出来なかったようだ」と批判。1時間50分留め置いた後、1週間の米国滞在とアカデミー賞式典への出席を認めたと明かした。

ブルナート監督の代理人によると、同局は監督に入国の理由の説明を求めた。監督は代理人に式典への招待状を米映画芸術科学アカデミーに送るよう求め、代理人がこれに応じようとした前に監督らの入国を認めたという。

ムーア氏によると、ブルナート監督は拘束について「慣れてはいない状況ではなかった。権利もない占領下に住んでいると日常茶飯事だ」と述べたという。

監督は20日夜にCNNとの会見に応じ、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸では500カ所以上でイスラエルの検問所や路上封鎖があると指摘。パレスチナ人は人間ではなくテロリストとするメディアの否定的報道や政府のプロパガンダは正しくないとし、パレスチナ人の人生をより困難にしていると主張した。

パレスチナ人によるドキュメンタリーがアカデミー賞候補となるのは初めてであり、式典への出席は個人的に極めて重要だとも述べた。

税関・国境警備局は同監督への今回の対応について、特定の事例に言及することは許可されていないとの声明を出した。

アカデミー賞候補作となっているブルナート監督の作品は「5 Broken Cameras」と題され、監督が居住するビリン村を舞台にユダヤ人入植の進展やパレスチナ人農民の土地とオリーブ園を引き離す隔離壁建設への地元の抵抗などを描いた。監督自身も農民で、この映画の製作に5年かけた。製作にカメラ5台を使ったことが題名の由来となっている。

同映画の公式サイトによると、ブルナート監督は投獄された経験も持ち、2006年には自宅軟禁処分も受けた。映画の共同監督としてブルナート氏の友人である平和運動家のイスラエル人も加わっている。

アカデミー賞の式典はロサンゼルスで24日に開催される。

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